質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第一〇七号
  令和七年五月十三日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員神谷宗幣君提出我が国に設置された孔子学院及び孔子課堂に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出我が国に設置された孔子学院及び孔子課堂に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 文部科学省においては、御指摘の「孔子学院」及び「孔子課堂」(以下これらを合わせて「孔子学院等」という。)を設置する各学校法人に対して、「「孔子学院」等に係る情報の公開について(依頼)」(令和五年十二月四日付け文部科学省高等教育局参事官(国際担当)及び初等中等教育局参事官(高等学校担当)事務連絡)(以下「令和五年事務連絡」という。)により、その運営に関する情報をホームページ等で公開するよう働きかけ、「情報公開の状況については、今後、フォローアップを実施する予定」としたことを踏まえ、その進捗状況について随時確認を行っているところであり、お尋ねの令和七年一月七日以降も、孔子学院等を設置する学校法人において、ホームページ等で公開される情報の内容が充実してきているものと承知している。

三の前段について

 文部科学省において、学校法人が孔子学院等を設置することにより当該学校法人が設置する学校の教育研究活動に支障が生じている事実や、設置された孔子学院等の活動に法令違反があると認められる事実を承知していない。

三の後段及び六について

 お尋ねの「調査・検証」、「孔子学院とは形式的には異なる交流形態を通じて、中国政府との提携や支援を受けている教育機関」及び「調査・監視」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省としては、令和五年事務連絡により、孔子学院等を設置する各学校法人に対して、その運営に関する情報をホームページ等で公開するよう働きかけ、その進捗状況を確認するなど、関係省庁と緊密に連携しながら孔子学院等を設置する各学校法人の動向を注視しているところであり、これ以上の詳細についてお答えすることは、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、差し控えたい。

四について

 御指摘の「形式上は「支障」や「法令違反」に該当しない場合」、「我が国の技術の流出や情報工作が行われているおそれ」及び「調査・監視体制」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、三の後段及び六についてでお答えしたとおり、文部科学省としては、関係省庁と緊密に連携しながら孔子学院等を設置する各学校法人の動向を注視しているところであり、これ以上の詳細についてお答えすることは、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、差し控えたい。いずれにせよ、政府としては、安全保障に関連する機微技術の管理の徹底が重要であると考えており、同省においては、我が国の大学や研究機関(以下「大学等」という。)において当該技術の管理が徹底されるよう施策を講じてきたところであり、引き続きこの取組を推進してまいりたい。

五について

 御指摘の「国防動員法」及び「国家情報法」は他国の法律であり、また、お尋ねの「両法が我が国において実質的に適用されるような事例」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

七について

 御指摘の「大学における外国の関与について情報公開を義務付ける制度的対応」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省においては、大学等に対し、経済産業省作成の「安全保障貿易に係る機微技術管理ガイダンス(大学・研究機関用)」を周知する等のための文書を発出し、安全保障に関連する機微技術の管理に関する説明会を開催する等して、大学等において当該技術の管理が徹底されるよう施策を講ずるとともに、研究活動を通じた国際的な連携について、大学等に対し、「研究活動の国際化、オープン化に伴う新たなリスクに対する研究インテグリティの確保に係る対応方針について」(令和三年四月二十七日統合イノベーション戦略推進会議決定)に示す研究の健全性及び公正性の確保のための取組を進めるよう周知を行っている。