質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第一〇五号
  令和七年五月九日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員浜田聡君提出雇用保険に未取得状態の労働者における「一週間の所定労働時間」の算定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出雇用保険に未取得状態の労働者における「一週間の所定労働時間」の算定に関する質問に対する答弁書

一及び四について

 お尋ねについて、「雇用保険に未取得状態の労働者における「一週間の所定労働時間」の算定に当たっての留意事項について」(平成二十八年十二月十九日付け厚生労働省職業安定局雇用保険課長補佐(業務担当)事務連絡。以下「事務連絡」という。)は、現在も「有効」であり、御指摘の「計算方法」も「有効」である。

二について

 お尋ねについては、事務連絡において、「雇用契約書等に記載の一週間の所定労働時間と実際の勤務時間が異なっている場合には、事業主等に対する聴取やタイムカード、賃金台帳等の帳簿書類による確認のほか、必要に応じて、当該労働者に対する調査等を行うことにより、実際の勤務時間を算定し、(中略)労働者の個々の勤務実態を勘案して判断することにより労働者保護を図る」としているところ、これに基づき、御指摘のように「賃金台帳に記載している場合」も含め、具体的には、個別の事実関係に即して判断されることとなるものである。

 また、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第二十四条及び第三十七条の規定に基づく賃金の支払については、「労働基準法関係解釈例規について」(昭和六十三年三月十四日付け基発第百五十号・婦発第四十七号労働省労働基準局長及び婦人局長連名通達)も踏まえ、行われるものとしているところ、労働基準監督機関においては、労働者の保護の観点から、労働者の個々の実際に働いた時間に応じた支払となるよう必要な指導等を行うこととしているところであり、両者について、御指摘の「整合性」に問題があるとは考えていない。

三について

 お尋ねについて、事務連絡における「(三)雇用契約書等に一週間の所定労働時間が明確に定められていない場合」の雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第二十三条第二項に規定する特定受給資格者及び同法第十三条第三項に規定する特定理由離職者並びに雇用保険法施行規則(昭和五十年労働省令第三号)第十九条第一項に規定する「二枚以上の離職票を保管する」者に係る一週間の所定労働時間の算定方法については、例えば、雇入れから半年間経過している場合は、事務連絡における「ア 確認を行う日から遡って一年までの期間(期間が一年に満たない場合は当該期間)の算定方法」(以下「アの算定方法」という。)に、雇入れから一年六箇月経過している場合は、事務連絡におけるアの算定方法及び「イ 一年前までの期間から二年前までの期間(期間が二年に満たない場合は当該期間)の算定方法」に基づいて判断されることになる。

五の前段について

 お尋ねについて、御指摘の「除外規定」については、事務連絡において、「(一)雇用契約書等に一週間の所定労働時間が明確に定められている場合」について、「年末年始等により特定の週の実際の勤務時間が例外的に短くなるなどの事情がある場合には、当該期間を除外して算定する」とし、「(三)雇用契約書等に一週間の所定労働時間が明確に定められていない場合」について、「その他の取扱いは上記(一)と同様である」としているとおりであり、したがって、御指摘の「整合性」が問題になるものではない。

五の後段について

 御指摘の「場合」については、事務連絡における「(三)雇用契約書等に一週間の所定労働時間が明確に定められていない場合」と理解した上で、当該場合については、事務連絡に基づき、「① 平均の所定労働時間の算定」について、「② 具体的な算定方法」により行われるところ、御指摘のように一箇月の「賃金支払の労働時間数が八十時間以上」の場合であっても、当該算定方法による計算の結果、二十時間未満となれば、御指摘のように「雇用保険の適用外」となるが、いずれにせよ、御指摘の「要件が加えられた」趣旨は、令和元年十二月二十日に労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会が取りまとめた「雇用保険部会報告」において、雇用保険の「基本手当をはじめとする失業等給付の受給資格の判定に当たっての基礎となる被保険者期間については、現在、「賃金支払の基礎となる日数が十一日以上である」月を算入している。(中略)個別事例によっては雇用保険被保険者の資格を満たしながら失業等給付の受給のための被保険者期間に算入されない事例がある。・・・被保険者期間の算入に当たっては、日数だけでなく労働時間による基準も補完的に設定するよう見直すこと」とされたことを踏まえ、御指摘の「雇用保険法改正により、」規定されたものであり、これに伴い、御指摘の「雇用保険の適用」について見直しを企図したものではない。

六について

 御指摘の「雇用主が労働基準法第十五条に規定される労働条件明示義務を順守して」いない場合については、労働基準監督署において、事業主に対して、労働基準法第十五条の規定の遵守について適切に指導等を行っているところであるが、いずれにせよ、御指摘の「労使間に疑義のある場合」を含め、事務連絡における「(三)雇用契約書等に一週間の所定労働時間が明確に定められていない場合」については、「実際の勤務時間を算定」することとなるものであり、事務連絡に基づき、個別の事実関係に即して、適切に判断されるべきものと考えている。