第217回国会(常会)
内閣参質二一七第九八号 令和七年四月二十五日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員浜田聡君提出「赤字であること」を医療法人設立の不認可要件とする法的根拠等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員浜田聡君提出「赤字であること」を医療法人設立の不認可要件とする法的根拠等に関する質問に対する答弁書 一について 御指摘の「医療法人の設立」に関しては、医療法(昭和二十三年法律第二百五号。以下「法」という。)第四十一条第一項において、「医療法人は、その業務を行うに必要な資産を有しなければならない」と、同条第二項において、当該資産に関し必要な事項は、厚生労働省令で定めるものと規定し、医療法施行規則(昭和二十三年厚生省令第五十号。以下「規則」という。)第三十条の三十四において、「医療法人は、その開設する病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院の業務を行うために必要な施設、設備又は資金を有しなければならない」と規定しており、また、法第四十五条第一項において、その主たる事務所の所在地の都道府県知事(以下「都道府県知事」という。)は、医療法人の設立の認可の申請があった場合には、当該申請に係る医療法人の資産が法第四十一条の要件に該当しているかどうか等を審査した上で、その認可を決定しなければならないものと、法第四十五条第二項において、当該認可等をするに当たっては、あらかじめ都道府県医療審議会の意見を聴かなければならないものと規定し、規則第三十一条第七号等において、当該認可を受けようとする者は「設立後二年間の事業計画及びこれに伴う予算書」等の書類を添付して、都道府県知事に提出しなければならないものと規定しており、さらに、「医療法人制度について」(平成十九年三月三十日付け医政発第〇三三〇〇四九号(平成三十一年三月二十九日最終改正)厚生労働省医政局長通知。以下「通知」という。)において、都道府県知事に対し、「新たに医療施設を開設するために医療法人を設立する場合には、二か月以上の運転資金を有していることが望ましいこと」等と示しているところである。 その上で、御指摘の「所轄行政庁が財務上の赤字を理由に不認可とする運用」の意味するところが必ずしも明らかではないが、都道府県知事においては、これらの法令及び通知を踏まえ、法第四十五条第一項の審査に当たり、申請者の資金の保有について確認する際に、地域の実情も踏まえつつ、個別具体の事案に応じ、申請者が御指摘の「赤字」であることを勘案することも考えられるものの、いずれにせよ、このような勘案が行われた事案の把握は行っていない。 二の前段について お尋ねの「明文規定」はない。 二の後段について 御指摘の「赤字であることを理由として不認可とすること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一についてで述べたとおり、都道府県知事においては、関係法令及び通知を踏まえ、法第四十五条第一項の審査に当たり、申請者の資金の保有について確認する際に、地域の実情も踏まえつつ、個別具体の事案に応じ、申請者が御指摘の「赤字であること」を勘案することも考えられるところである。 三について 御指摘の「地域医療への貢献度」の「評価」及び「柔軟に運用すること」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、都道府県知事においては、関係法令及び通知を踏まえ、法第四十五条第一項の審査及び認可に当たり、地域の実情も踏まえつつ、個別具体の事案に応じ、御指摘のような「資金調達力」や「経営計画」も勘案して「総合的」な「評価」を行いながら、適切に実施されているものと認識している。 四及び五について 御指摘の「地域間格差や恣意的運用」の意味するところが明らかではないため、これに関するお尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、三についてで述べたとおり、都道府県知事においては、関係法令及び通知を踏まえ、法第四十五条第一項の審査及び認可について、地域の実情も踏まえつつ、個別具体の事案に応じ、適切に実施されているものと認識しており、御指摘のような「リスク」は承知しておらず、また、御指摘のように「統一的なガイドラインを策定・周知する」ことは考えていない。 六について 四及び五についてで述べたとおり、御指摘の「前記四のリスク」について承知していないため、このことを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難である。 |