第217回国会(常会)
内閣参質二一七第九六号 令和七年四月二十五日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員浜田聡君提出我が国の自動消火設備がガラパゴス化している可能性等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員浜田聡君提出我が国の自動消火設備がガラパゴス化している可能性等に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「消防機器に係る検定制度」については、検定対象機械器具等(消防法(昭和二十三年法律第百八十六号。以下「法」という。)第二十一条の二第一項に規定する検定対象機械器具等をいう。以下同じ。)は、一定の形状等を有しないときは火災の予防等のために重大な支障を生ずるおそれがあることから、これを検定の対象とすることにより、当該形状等を有することを担保し、もって国民の生命、身体及び財産の保護に寄与することを目的としており、御指摘のように「国外検定基準を否定」した事実はなく、「我が国が独自に定めた検定基準でなければ消火能力を担保できない」と判断したものではない。 二について 御指摘の「日本消防検定協会が発行している検定協会だより」における記載は、政府の見解を述べたものではないため、お尋ねについて、政府としてお答えする立場にない。 三について お尋ねの「ガラパゴス化」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。 四について 「我が国と米国の間には自動消火設備を使用した防火の経験や積み上げてきた知見において圧倒的な差があると考えられるが、政府も同様の認識か示されたい」とのお尋ねについては、お尋ねの「自動消火設備を使用した防火の経験や積み上げてきた知見」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮にスプリンクラー設備が作動した回数及び当該設備の作動状況を検証した件数並びにその検証から得られた知見を意味するのであれば、米国におけるそれらの数及び個々の検証の具体的な内容を網羅的に把握していないため、お答えすることは困難である。 また、「自動消火設備においても同様と考えられるが、政府の見解を示されたい」とのお尋ねについては、御指摘の「設備やシステムにおいて設計の意図どおりに機能したかを検証し、その結果や問題点をフィードバックして改善につなげる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、スプリンクラー設備等の消防用設備等については、火災等の事例、防火対象物の実態、当該消防用設備等の技術進歩等に応じて、当該消防用設備等の有効性、安全性等の検証を行い、当該消防用設備等の技術上の基準について適宜見直しを行っているところである。 五について お尋ねの「この基準の見直し」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国がお尋ねの「小委員会」に参加しているのは、同委員会から得られる知見を我が国のスプリンクラー設備等の消防用設備等の技術上の基準に取り入れることや、当該消防用設備等に関する国際基準の策定過程において我が国の意見を反映させることを目的としているため、引き続き参加する意義はあるものと考えている。 六について お尋ねの「スプリンクラーの強制規格」及び「基礎として使用していない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国におけるスプリンクラー設備の技術上の基準は、お尋ねの「ISO6182―1」で定められている基準とおおむね整合的なものとなっていると考えている。 七について 御指摘の「ガラパゴス化により、我が国においては自動消火設備を使用した防火が非科学的に行われており、国民の生命、財産、事業活動及び生活を守る上で妨げとなっている」の意味するところが明らかではないため、これを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、四についてでお答えしたとおり、スプリンクラー設備等の消防用設備等については、火災等の事例、防火対象物の実態、当該消防用設備等の技術進歩等に応じて、当該消防用設備等の有効性、安全性等の検証を行い、当該消防用設備等の技術上の基準について適宜見直しを行っているところである。 八について お尋ねの「消防法で義務付けられている国家検定の基準が不透明であること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)第八条の規定は、事業者団体による、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること等の行為を禁止するものであるところ、法第二十一条の二第二項の検定対象機械器具等に係る技術上の規格を総務省令で定めること等は、独占禁止法第八条と関係がないものと考える。 |