第217回国会(常会)
内閣参質二一七第九四号 令和七年四月十八日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員野田国義君提出固定価格買取制度における出力制御に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員野田国義君提出固定価格買取制度における出力制御に関する質問に対する答弁書 一について 御指摘の「出力制御の頻発」及び「事業の継続に深刻な影響が出ている現状」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「出力制御」については、政府として、電力の安定供給の確保のために必要な措置であると考えている一方で、これが再生可能エネルギーの導入の妨げになってはならないと考えており、その制御する量を可能な限り抑制するため、令和五年十二月に経済産業省において「出力制御対策パッケージ」を取りまとめ、これを踏まえつつ、蓄電池の導入支援等に係る予算措置等を講じているところである。 二について お尋ねの「実務上の運用における具体的な基準」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律(平成二十八年法律第五十九号)による改正前の電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号。以下「法」という。)第六条第二項に規定する認定(以下「認定」という。)の申請(以下「申請」という。)の電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(平成二十八年経済産業省令第八十四号)による改正前の電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則(平成二十四年経済産業省令第四十六号)第八条第一項第二号に規定する基準(以下「基準」という。)への適合性については、同号の規定に基づき、「当該認定の申請に係る再生可能エネルギー発電設備を設置する場所及び当該設備の仕様が決定している」か否かについて申請書等の記載内容等を確認し判断することとしていた。また、申請が基準に適合しない場合については、認定を行わないこととしていた。 三について 申請の基準への適合性を判断するに際し、お尋ねの「許認可申請」の有無は、当該判断の要素としていなかった。 四について お尋ねの「運用変更に至った経緯及び目的」については、再生可能エネルギー発電設備を設置する場所に関して複数の事業者間で紛争が発生したこと等を踏まえ、申請の基準への適合性をより厳格に確認することが目的であり、当該目的は達成することができたと考えている。 五及び六について 御指摘の「国が接続可能量の二倍以上もの認定を与える運用を行ったのは制度設計に問題があった」及び「電気事業者の接続可能量を考慮しない過剰な認定が、電気事業者を指定電気事業者に指定する時期を極端に早め、無制限・無補償の出力制御の対象となる電気事業者を増加させた」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、法の運用に当たっては、再生可能エネルギーの導入拡大を促進する観点から、御指摘の「接続可能量」を超過することを理由として認定を行わない判断をすることとはしていなかった。 七について 御指摘の「報告徴収」の目的は、着工の遅延によって認定から運転の開始までに一定の期間が経過している認定を受けた再生可能エネルギー発電設備が存在していた状況において、「報告徴収」を実施した時点における当該再生可能エネルギー発電設備の基準への適合性をより一層厳格に確認することにあったものである。 八について お尋ねの「場所を確保していない設備であっても例外的に聴聞が猶予された」の具体的に意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、御指摘の「聴聞」については、「報告徴収」により、認定を受けた再生可能エネルギー発電設備を設置する場所及び当該再生可能エネルギー発電設備の仕様の決定状況を確認した上で、基準に適合していないと認められる当該再生可能エネルギー発電設備に対して順次実施したものである。 九について お尋ねの「救済措置」及び「補償制度」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「出力制御による損失に対する補償」については、例えば、令和六年四月二日の参議院経済産業委員会において、齋藤経済産業大臣(当時)が「工夫してもなおエリア全体で電気の余剰が発生している場合、追加的に電力を供給することができなくなるわけでありますので、電力市場においてその追加的な電力の供給には経済的価値が付かない状況になります。これを国民負担により補償するということになると、私はそれは妥当ではないと考えています。また、発電事業者と一般送配電事業者の系統接続時の契約に基づきまして、出力の制御により生じた損害は補償しないということになっています。」と答弁しているとおりである。 |