質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第九三号
  令和七年四月十八日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員浜田聡君提出医療保険料が児童手当の財源となっていることの妥当性等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出医療保険料が児童手当の財源となっていることの妥当性等に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

 児童手当の支給は、児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)の規定により行うものであり、これに要する費用等に充てるため、政府は健康保険者等(子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五号)第七十一条の二第五項に規定する健康保険者等をいう。以下同じ。)から子ども・子育て支援納付金(子ども・子育て支援法第七十一条の三第一項に規定する子ども・子育て支援納付金をいう。以下同じ。)を徴収し、健康保険者等は子ども・子育て支援納付金の納付に要する費用を健康保険法(大正十一年法律第七十号)等の規定により保険料として徴収することとしている。このことと同法の目的との関係については、衆議院議員宮本徹君提出子ども・子育て支援金の試算に関する質問に対する答弁書(令和六年五月十日内閣衆質二一三第八七号)三についてでお答えしたとおりである。

二の1及び2並びに四の2について

 お尋ねの「児童手当の支給が医療保険財政に与える影響」、「医療保険財源からの児童手当の支給が、医療給付の充実や保険料負担の軽減といった本来の目的に反する影響を及ぼす可能性」及び「児童手当の支給が将来的に保険料の更なる引上げを招く可能性」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、児童手当の支給に要する費用のうち児童手当法第十八条の規定により国からの交付金をもって充てることとされる部分については、同法第十九条において、事業主拠出金(子ども・子育て支援法第六十九条第一項に規定する拠出金をいう。以下同じ。)及び子ども・子育て支援納付金を原資とするほか国庫が負担することとされており、保険給付(健康保険法第五十二条に規定する保険給付をいう。以下同じ。)等の財源となる一般保険料(保険料のうち健康保険法第百五十六条第一項第一号に規定する一般保険料率によって算定される額に係る部分をいう。以下同じ。)が充てられることはない。このため、児童手当の支給に要する費用の増減は、一般保険料の額、保険給付の水準及び保険給付に係る収支に直ちに影響するものではないと考える。

三の1及び2について

 「児童手当給付以外の政府が行う子育て支援施策にも医療保険財源を充てることができるのか」とのお尋ねについては、個別の事業ごとに検討することが必要であるため、一概にお答えすることは困難である。また、「今後、どのような範囲まで医療保険財源の活用を認めるか」とのお尋ねについては、仮定の質問であるため、お答えすることは困難である。なお、特定の事業に要する費用を社会保険の保険料として徴収することが適当であるかどうかについては、令和六年四月十九日の衆議院厚生労働委員会において、武見厚生労働大臣(当時)が「社会保険料は各制度の目的に沿った形でそれぞれの制度において徴収されるものであると認識をしております。こうした考え方に従って、特定の事業への充当を前提として保険料を賦課徴収することが各制度の目的の範囲内かどうか、これは丁寧に検討していく必要がある」と答弁しているとおりである。

四の1について

 お尋ねの「医療保険財源の一部を児童手当に充てることについて、国民や事業者からの理解を得るために政府がこれまで行ってきた説明」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないため、網羅的にお答えすることは困難であるが、児童手当の支給に要する費用等に充てるために子ども・子育て支援納付金を健康保険者等から徴収するとともに、健康保険者等が子ども・子育て支援納付金の納付に要する費用を健康保険法等の規定により保険料として徴収することの趣旨については、こども家庭庁のホームページで周知するとともに、事業主の団体その他の関係団体に対して説明を行ってきたところであり、これからも丁寧に説明する努力を続けてまいりたい。

五について

 お尋ねの「児童手当の財源を一般会計の支出とすることについて検討」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。なお、児童手当の支給に要する費用については、これまでも、多様な財源を組み合わせることによって必要な額を確保してきたところであり、都道府県及び市町村が一部を負担するとともに、国の交付金をもって充てる部分については、事業主拠出金を原資とするほか、国庫が負担することとされてきた。子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和六年法律第四十七号)による児童手当の支給額の増加、所得要件の撤廃等(以下「児童手当の拡充」という。)を行うに当たっては、これらの財源に加えて、児童手当の支給が健康保険法等の目的の達成に寄与するものであること等を踏まえ、同法等に基づく保険料を原資とする子ども・子育て支援納付金の一部も活用して、安定的な財源を確保することとしたものである。児童手当の拡充に要する費用を一般会計からの支出のみにより確保することについては、現在検討を行っておらず、また、現時点において検討を行う予定はない。