第217回国会(常会)
内閣参質二一七第九一号 令和七年四月十八日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員神谷宗幣君提出中国の反スパイ法等に基づく日本人及び在日中国人の拘束事案に係る危機意識の喚起と政府対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員神谷宗幣君提出中国の反スパイ法等に基づく日本人及び在日中国人の拘束事案に係る危機意識の喚起と政府対応に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねの「中国における反スパイ法の運用に関連し、二〇一四年以降、」令和七年四月十四日までに「中国において拘束された日本人の人数」は合計十七名であると承知している。お尋ねの「各事案の概要」については個人情報が含まれることなどから、また、後段のお尋ねについては、お尋ねの「事例」があることは承知しているが、それ以上の詳細については我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることなどから、お答えすることは差し控えたい。 二の前段及び四について お尋ねの「同様の事案が今後も発生する可能性」については御指摘の「中国当局」による「反スパイ法の運用」に関わる事柄であり、また、「これらの事例を放置すること」の具体的に意味するところが明らかではないためお答えすることは困難であるが、政府としては、引き続き、情報の収集及び分析に努めるとともに、適切な措置を講じてまいりたい。 二の後段及び三について 海外に渡航・滞在する邦人向けに安全等に関する情報を発信する外務省海外安全ホームページ上の「危険情報」(以下「危険情報」という。)の項目については、政府として、渡航・滞在に当たって特に注意が必要と考えられる国・地域に関して、日本国民の生命又は身体に対する脅威を考慮しつつ、中長期的な観点から、当該国・地域の治安情勢を始めとする政治情勢、社会情勢等を総合的に判断して決定してきており、お尋ねの「現在の「危険情報」」についても、これらの観点を踏まえ、適切に判断してきているものである。 また、政府としては、これまで、危険情報を始めとした適時適切な情報発信、注意喚起等を行うことを通じ、海外に渡航・滞在する邦人の安全確保に努めているところであり、中国については、同ホームページ上の中国に関する危険情報の項目において「中国では、「国家安全に危害を与える」とされる行為は、刑法、反スパイ法、軍事施設保護法、測量法等に基づき取調べの対象となり、国家安全部門に長期間の拘束を余儀なくされるのみならず、裁判で有罪となれば、懲役などの厳重な刑罰を科されるおそれがあります。」といった記載をするとともに、同ホームページ上の中国に関する「安全対策基礎データ」の項目において「中国においては、街中に監視カメラが設置されており、犯罪を未然に防止する等の措置がとられています。携帯電話やパソコン等の通信機器は、機器やアプリを通じて盗聴されている可能性があることを認識してください。」といった記載をすることなどを通じ、中国に渡航・滞在する邦人に対して注意喚起を行っているところである。今後も引き続き、中国に渡航・滞在する邦人に対し、適時適切な危険情報の見直しも含め、きめ細やかな情報発信や注意喚起を行ってまいりたい。 五について 在外公館における邦人保護の在り方については、これまで、現地情勢に関する知見を有する民間団体との意見交換等を行い、当該団体の経験や知見も参考にして検討を進めてきており、引き続き、こうした団体と連携を取りつつ邦人保護のための体制の強化に取り組んでまいりたい。 六について お尋ねの「法的対応」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、これまで中国側に対し、例えば、令和七年三月二十四日の参議院外交防衛委員会において、岩屋外務大臣が「昨年十二月、私が訪中して行った日中外相会談において、私から王毅外交部長に対して、まず邦人拘束事案ですね、拘束された邦人の早期釈放・・・を求めた上で・・・反スパイ法の・・・透明性の向上についても求めたところであり、今般の東京での日中外相会談においても同じくそのような申入れをしたところでございます」と述べたとおり、累次働きかけているところである。今後も御指摘の「中国当局」に邦人が拘束されている事案それぞれの具体的状況を踏まえつつ、引き続き、このような働きかけを粘り強く継続していく考えである。 政府としては、御指摘の「中国当局」に邦人が拘束されている事案の具体的な状況の把握及び分析に努めているが、その内容については、個人情報が含まれるためお答えすることは差し控えたい。 七について お尋ねの「入国制限」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、これまで、中国国籍者を含む外国人(以下「外国人」という。)に対して、我が国への入国に際して査証の申請があった場合には査証の発給基準に基づいて当該査証の発給に係る審査を厳格に行っているほか、外国人から上陸のための申請があった場合には上陸のための条件に適合しているか否かの審査を適切に行うなどしてきており、引き続き、このようにして我が国に入国する外国人の公正な管理に努めていく考えである。 |