第217回国会(常会)
内閣参質二一七第八七号 令和七年四月十五日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員山本太郎君提出原子力災害時における住民避難のための実動組織による支援に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員山本太郎君提出原子力災害時における住民避難のための実動組織による支援に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねの「バス事業者と自治体との間であらかじめ決めた「被曝線量限度」について」「一ミリシーベルトではない数値を限度として設定している事例」については、政府として承知していない。 二の1及び2について お尋ねについては、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十三条第一項において、都道府県知事その他政令で定める者(以下「都道府県知事等」という。)は、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊等(同法第八条に規定する部隊等をいう。以下同じ。)の派遣を防衛大臣又はその指定する者(以下「防衛大臣等」という。)に要請(以下「派遣要請」という。)をすることができる旨規定されているとともに、同法第八十三条第二項において、防衛大臣等は、都道府県知事等からの派遣要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊等を救援のため派遣することができる旨規定されている。 その上で、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号。以下「原災法」という。)第二十八条第一項の規定により読み替えて適用される災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号。以下「災対法」という。)第六十八条の二第一項において、市町村長は、当該市町村の地域に係る原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む。以下同じ。)が発生し、又は正に発生しようとしている場合において、応急措置(災対法第六十二条第一項に規定する応急措置をいう。以下同じ。)を実施するため必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、派遣要請をするよう求めることができる旨規定されている。また、原災法第二十八条第一項の規定により読み替えて適用される災対法第六十八条の二第二項において、市町村長は、当該要求ができない場合には、その旨及び当該市町村の地域に係る原子力災害の状況を防衛大臣等に通知することができる旨規定され、この場合において、当該通知を受けた防衛大臣等は、その事態に照らし特に緊急を要し、派遣要請を待ついとまがないと認められるときは、人命又は財産の保護のため、派遣要請を待たないで、部隊等を派遣することができる旨規定されている。 さらに、原災法第二十八条第二項の規定により読み替えて適用される災対法第七十条第一項において、都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る原子力緊急事態宣言があった時から原子力緊急事態解除宣言があるまでの間においては、その所掌事務に係る応急措置を速やかに実施しなければならず、この場合において、その区域内の市町村の実施する応急措置が的確かつ円滑に行われることとなるように努めなければならない旨規定されているところ、同条第三項において、都道府県知事は、応急措置を実施するため、又はその区域内の市町村の実施する応急措置が的確かつ円滑に行われるようにするため必要があると認めるときは、防衛大臣を含む指定行政機関(災対法第二条第三号に規定する指定行政機関をいう。)の長若しくは指定地方行政機関(災対法第二条第四号に規定する指定地方行政機関をいう。)の長(以下「指定行政機関の長等」という。)又は当該都道府県の他の執行機関等に対し、応急措置の実施を要請し、又は求めることができ、この場合において、当該要請をされた指定行政機関の長等は、正当な理由がない限り、応急措置の実施を拒んではならない旨規定されている。 二の3について お尋ねの「自衛隊等の実動組織に支援を要請する権限を持つ自治体」及び「市町村長からの要請」の意味するところが必ずしも明らかではないが、派遣要請及び災対法第七十条第三項の規定に基づく応急措置の実施の要請については、二の1及び2についてで述べたとおりである。 二の4について お尋ねの「対象地域ごとに避難支援用車両数及び運転要員数も含めて具体的に定めた計画」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、防災基本計画(令和六年六月二十八日中央防災会議決定)に基づき、各地域の地域原子力防災協議会において原災法第六条の二第一項に定める原子力災害対策指針(令和六年原子力規制委員会告示第八号)等に照らして具体的かつ合理的なものであることを確認され、原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)第三条の三の規定に基づき設置される原子力防災会議において了承された、各地域の「緊急時対応」に係る文書においては、お尋ねの「自治体の要請による自衛隊等の実動組織の支援」について、「不測の事態により確保した輸送能力で対応できない場合など、関係自治体の要請により実動組織・・・が必要に応じ支援を実施」する旨、「不測の事態における・・・各種支援の要請に対し、実動組織・・・が連携のうえ、迅速な対応体制を構築」する旨等を記載している。 |