第217回国会(常会)
内閣参質二一七第八四号 令和七年四月十五日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員浜田聡君提出営利法人に病院等の開設が認められない法的根拠に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員浜田聡君提出営利法人に病院等の開設が認められない法的根拠に関する質問に対する答弁書 一から三までについて 御指摘の「医療法第七条第七項は、営利法人を禁止しているのか」及び「営利法人を禁止しているのであれば、禁止規定であるにもかかわらず」の意味するところが必ずしも明らかではないが、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第七条第七項についてのお尋ねの「解釈」、「当該条文が「許可を与えないことができる。」という記載である理由」及び「医療法第七条第七項において、許可を与えることができる場合」については、例えば、昭和二十三年六月二十六日の衆議院厚生委員会において、当時の政府委員が「営利を目的として病院、診療所・・・を開設しようという者に対して許可を與えないことがあるということにいたしてあります。実際の運用としましては、この規定に基いて、営利を目的とする者には許可を與えない方針でございます」と答弁し、また、御指摘の「平成十五年四月二十二日に行われた総合規制改革会議の第六回アクションプラン実行ワーキンググループ」において、厚生労働省より、「医療法全体の体系からすれば・・・許可を与えないものとすると解釈するのが正しい読み方だろう」及び「既に株式会社病院が幾つかあったというふうに聞いております。それを前提として法律を変えたからそういうふうになったのだろうと思っております。あともう一つは、医療法人の配当の禁止規定とのバランス上も、・・・許可を与えないものとするというふうに解釈されるべきものだろうと思っております」と説明し、さらに、「医療機関の開設者の確認及び非営利性の確認について」(平成五年二月三日付け総第五号・指第九号厚生省健康政策局総務課長及び指導課長連名通知)において、「医療法第七条・・・の規定に基づく医療機関の開設手続きについては、特に、・・・営利を目的とするものでないことを十分確認する必要があり」、「営利を目的とするものでないか否かを審査するに当たっては、開設主体、設立目的、運営方針、資金計画等を総合的に勘案するとともに」、「医療機関の開設主体が営利を目的とする法人でないこと。ただし、専ら当該法人の職員の福利厚生を目的とする場合はこの限りでないこと」、「医療機関の運営上生じる剰余金を役職員や第三者に配分しないこと」、「医療法人の場合は、法令により認められているものを除き、収益事業を経営していないこと」等と示しているところである。 四について お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、御指摘の「医療法における「~(する)ことができる」との規定」については、例えば、医療法第四十二条の二第一項において、「医療法人のうち・・・都道府県知事の認定を受けたもの(以下「社会医療法人」という。)は、その開設する病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院・・・の業務に支障のない限り、・・・その収益を当該社会医療法人が開設する病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院の経営に充てることを目的として、厚生労働大臣が定める業務(以下「収益業務」という。)を行うことができる」と規定しているところ、「社会医療法人の認定について」(平成二十年三月三十一日付け医政発第〇三三一〇〇八号厚生労働省医政局長通知)において、「収益業務を」「行わない場合には」と示されているとおり、必ずしも全ての「社会医療法人」が「収益業務」を行うものとなっておらず、したがって、御指摘のように「全て「~(する)ものとする」と解釈している」わけではない。 五の1について 御指摘の「現在の政府の見解と一致するか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省において御指摘の「前記回答」を行っているところ、「現在」においてこの「見解」を変更したとの事実はない。 五の2について お尋ねについては、一から三までについてでお答えしているとおりである。 五の3について 御指摘の「「法的整合性を著しく欠く取扱いとなる」法令」の指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、例えば、医療法第五十四条において、「医療法人は、剰余金の配当をしてはならない」と規定している一方で、平成二十七年三月二十五日の衆議院厚生労働委員会において、塩崎厚生労働大臣(当時)が「医療は、税金を払っているけれども非営利を追求するということになっています。株式会社の参入というのがよく言われますが、・・・株式会社の本質はやはり株主が配当を受けるということ」と答弁しているとおり、「株式会社の参入」においては、「株主が配当を受けるということ」が前提になることを踏まえ、厚生労働省において御指摘の「回答②」の表現を用いたところである。 |