第217回国会(常会)
内閣参質二一七第七九号 令和七年四月十一日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員神谷宗幣君提出「高度専門職」外国人受入れと安全保障上の懸念に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員神谷宗幣君提出「高度専門職」外国人受入れと安全保障上の懸念に関する質問に対する答弁書 一について 御指摘の「学歴、年収、日本語能力等の条件を満たすだけで「代替することが出来ない良質な人材」とする現行の高度専門職の受入れ基準」及びお尋ねの「こうした基準の厳格化」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「高度専門職」の在留資格認定証明書の交付申請等に係る審査については、「学歴、年収、日本語能力等」を考慮して行っているのみならず、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第七条第一項等の規定に基づき、当該申請等に係る外国人が本邦において行おうとする活動が我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情等をも考慮して行っている。 二について お尋ねの「政府はどのようにして安全保障のリスクを認識しているのか」及び「諜報活動の危険性については厳格な審査基準が設けられているのか」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、在留資格認定証明書の交付申請等に係る審査については、関係機関から寄せられた情報等を踏まえ、適切に行っている。 三について 「永住許可に関するガイドライン」(平成十八年三月三十一日法務省入国管理局策定、令和六年十一月十八日出入国在留管理庁改訂)における「高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に八十点以上を有している者」等に対する在留年数に係る基準の特例については、平成二十一年五月二十九日に高度人材受入推進会議において取りまとめた報告書において、高度外国人材が「国内の資本・労働とは補完関係にあり、代替することが出来ない良質な人材」であり、「我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに、日本人との切磋琢磨を通じて専門的・技術的な労働市場の発展を促し、我が国労働市場の効率性を高めることが期待される人材」であるとされていることを前提に、「日本再興戦略二○一六」(平成二十八年六月二日閣議決定)において、「日本経済の成長への貢献が期待される高度な技術、知識を持った外国人材を我が国に惹きつけ、長期にわたり活躍してもらうためには、諸外国以上に魅力的な入国・在留管理制度を整備することが必要である。このため、高度外国人材の永住許可申請に要する在留期間を現行の五年から大幅に短縮する世界最速級の「日本版高度外国人材グリーンカード」を創設することとし、可能な限り速やかに必要な措置を講じる。」としていることを踏まえて定めたものであり、現時点においてこれを見直すことは考えていない。 四について お尋ねの「米国や豪州が安全保障を理由に特定国籍の研究者や留学生に対するビザ審査を厳格化している一方で、日本政府は同様の措置を講ずる予定があるか」及び「当該高度人材による安全保障上の情報漏洩リスク」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、政府としては、一般に、留学生や外国人研究者の受入れに当たっては、安全保障に関連する機微技術の管理の徹底が重要であると考えており、例えば、「経済財政運営と改革の基本方針二○二四」(令和六年六月二十一日閣議決定)において「留学生・外国人研究者等の受入審査強化等の技術流出対策に取り組む」としている。 |