第217回国会(常会)
内閣参質二一七第七八号 令和七年四月十一日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員神谷宗幣君提出LGBT理解増進法における「不当な差別」の定義の明確化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員神谷宗幣君提出LGBT理解増進法における「不当な差別」の定義の明確化に関する質問に対する答弁書 一について 前段のお尋ねについては、インターネット上の書き込み、勤務先における発言、学校の教員の対応等に関する事案がある。 後段のお尋ねについては、御指摘の「令和五年における「人権侵犯事件」の状況について(概要)」における「令和五年中に法務省の人権擁護機関が救済措置を講じた具体的事例」は、令和五年の法務省の人権擁護機関における人権侵犯事件の動向や社会情勢等を総合的に勘案して掲載したものである。 二について 御指摘の「ビデオメッセージ」において、岸田内閣総理大臣(当時)は、「性的マイノリティの人々などが不当な差別を受ける事案を耳にすることも少なくありません」などと述べたものであるところ、その根拠として個別の事案を殊更に示すことは予断を与えるおそれがあることから差し控えたい。 三について お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の答弁は、先の質問主意書(令和六年六月十四日提出質問第一七五号)二でお尋ねの「「性的マイノリティの人々などが不当な差別を受ける事案」は、いつどのようなところでどの期間に何件、どのような具体的内容で起きているのか。また、それを不当な差別とする根拠は何か。」について述べたものであり、「一貫性がない」及び「LGBT理解増進法に係る差別のみ、具体的な内容を明らかにしない」との御指摘はいずれも当たらないものと考えている。 四について 御指摘の「懸念」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(令和五年法律第六十八号。以下「法」という。)第八条第一項に規定する基本計画及び法第十二条に規定する指針の策定に当たっては、法第三条の基本理念にのっとり、法第九条の学術研究等の成果を踏まえるとともに、国民の多様な意見や事情を丁寧に聴取しつつ、検討を行っているところである。 五について お尋ねの「現在、地方公共団体において実施されている施策の内容」については、その具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、地方公共団体における、法第一条に規定する性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策(以下「理解増進施策」という。)を網羅的に把握しているわけではないが、例えば、令和六年一月時点では、三十九都道府県において、都道府県又は市町村の職員に対する研修や講座等が実施されていると承知している。 その余のお尋ねについては、お尋ねの「過度な施策の事例や施策等により混乱が生じている事例」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。 六について お尋ねの「同法の理解増進に関し、民間団体への委託事業」及び「委託先の選定基準や事業の進捗管理、成果の評価」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、理解増進施策に係る事業の民間団体への委託については、法や委託する事業の趣旨目的を踏まえ、当該事業を所管する府省庁において適切に実施されているものと承知している。例えば、内閣府において実施した「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律第九条に規定する学術研究等の遂行に資する既存研究等の調査分析」に係る事業者の募集及び選定は、価格及びその他の条件により評価を行う総合評価落札方式による一般競争入札により行われ、履行状況の確認は、同府と受託者との間で、定期的に打合せを行い、業務の進捗や作業の内容を当該受託者が具体的に報告し、同府の了解を得ることとされていた。 |