質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第七○号
  令和七年四月四日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員神谷宗幣君提出「経営・管理」の在留資格を悪用した外国人移住の実態に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出「経営・管理」の在留資格を悪用した外国人移住の実態に関する質問に対する答弁書

一について

 前段のお尋ねについては、「このような不正」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「経営・管理」の在留資格をもって我が国に在留する外国人富裕層が増えており、その中には当該在留資格に係る営業の実態が確認できない事例がある旨の報道があったことは承知している。

 後段のお尋ねについては、「摘発された事案」の具体的に意味するところが明らかではないため、「その件数」についてお答えすることは困難である。

二について

 お尋ねの「斡旋業者に対する監視体制・取締体制」及び「不正取得に関与した斡旋業者や仲介業者への規制強化、名義貸しの禁止措置」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

三について

 前段のお尋ねについては、「実態審査の強化や要件の厳格化を検討しているのか」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、法務局においては、商号、会社等に係る信用の維持を図り、かつ、取引の安全と円滑に資することを目的とする商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)その他の関係法令に基づいて、適切に商業登記及び法人登記に係る事務を行っているところである。

 中段及び後段のお尋ねについて、商業登記及び法人登記の申請における審査は、登記簿のほか申請書及びその添付書面に基づいて行われ、登記官は、当該申請に同法第二十四条各号(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第三百三十条等において準用する場合を含む。)に掲げる事由がある場合を除き、その登記をすることとなるため、お尋ねの「事業継続状況の定期報告を義務付ける制度」及び「行政機関が登記後の事業活動について抜き打ちで実態調査を実施できる権限を付与し、不正を防ぐ仕組み」を商業登記及び法人登記に係る制度において導入することは考えていない。

四について

 前段のお尋ねについては、「医療目的の不正移住を防ぐため」に講ずる「対策」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、公的医療保険の被保険者の資格管理については、令和七年二月四日の衆議院予算委員会において、福岡厚生労働大臣が「入国目的を偽って在留資格を取得し日本の医療保険制度に加入することは、被保険者の支え合いで成り立っている医療保険制度の信頼を損なうものでございまして、医療保険における適正な資格管理が大変重要だと考えております。そのような観点から、外国人の方の被保険者については、平成三十年一月から、厚生労働省と法務省が連携し、在留資格の本来活動を行っていない活動があると判断される場合には、保険者である市町村から出入国在留管理局に通知する取組を実施しておりまして、引き続き適正な資格管理を行いたいと考えております。」と答弁したとおりである。

 中段のお尋ねについては、「在留資格申請時に所得証明の提出を義務付けることや、保険料の前払制度を導入し、保険料の支払能力を確認する仕組み」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、出入国在留管理庁においては、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第七条の二第一項に規定する在留資格認定証明書の交付申請等に係る審査に際して、当該申請に係る申請書にある申請人の報酬額の記載を確認するとともに、必要に応じて、報酬額を証する文書を提出させることとしている。

 後段のお尋ねについては、政府としては把握していない。

五について

 前段のお尋ねについては、御指摘の「国防動員法」及び「国家情報法」は他国の法律であり、また、「こうした中国の影響力拡大の実態」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

 後段のお尋ねについては、「安全保障上の観点から、自治体レベルでの外国人移民の受入れ方針に対し、国として統制を強化する」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

六について

 前段のお尋ねについては、「中国系資本が運営する物件」、「民泊事業の実態がほとんどない」及び「特区民泊を利用した不正移住の実態」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「経営・管理」の在留資格をもって「民泊事業」を経営する者が存在することは承知している。

 後段のお尋ねについては、御指摘の「民泊事業の経営実態の厳格な審査や、定期的なチェックを行う仕組み」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、住宅宿泊事業法(平成二十九年法律第六十五号)第二条第三項に規定する住宅宿泊事業については、同法に基づき、都道府県知事等が事業者の事業の適正な運営を確保するための監督を行っており、また、国家戦略特別区域法(平成二十五年法律第百七号)第十三条第一項に規定する国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業については、同法に基づき、都道府県知事等が当該事業の実施状況についての監督を行っているものと承知している。