質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第五二号
  令和七年三月十八日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員浜田聡君提出団塊の世代が後期高齢者となることで介護保険料負担が劇的に増加し現役世代を大きく苦しめる可能性等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出団塊の世代が後期高齢者となることで介護保険料負担が劇的に増加し現役世代を大きく苦しめる可能性等に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 介護保険制度においては、介護保険法(平成九年法律第百二十三号。以下「法」という。)第百十七条第一項の規定等に基づき、市町村(特別区を含む。以下同じ。)が三年を一期とする市町村介護保険事業計画において、法第七十条第十項に規定する日常生活圏域における法第百十七条第二項各号に掲げる介護給付等対象サービスの種類ごとの量(以下「サービス量」という。)の見込み等の事項について、各市町村の議会における議論を経るなどして定め、法第百二十九条第三項の規定等により、当該サービス量の見込み等に基づく法第十八条に規定する保険給付等を行うために必要な費用の一部について、各保険者において徴収する介護保険料により負担することとなっている。

 その上で、お尋ねの「被保険者が被用者保険に加入している場合」の「第二号被保険者」の介護保険料の保険料率及び「第一号被保険者」の介護保険料について、これらの「上限」を設定することについては、各保険者において徴収する介護保険料による収入が十分に確保されなくなるおそれがあり、ひいては、市町村において当該サービス量等を十分に見込めなくなるおそれがあることなどから、「介護保険料及び保険料率」に「上限」を設定することは困難と考えている。

三について

 お尋ねの「介護給付費の将来予測」について、御指摘の「今後二十年における、年度ごとの推計」はしていないが、「二千四十年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」(平成三十年五月二十一日経済財政諮問会議提出。以下「社会保障の将来見通し」という。)においては、「経済前提」として、「二千二十七年度までは、内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(平成三十年一月)等」に、「二千二十八年度以降は、公的年金の」、「平成二十六年財政検証ケースF」に基づき試算した「ベースラインケース」及び「平成二十六年財政検証ケースE」に基づき試算した「成長実現ケース」の二つを置いた上で、それぞれの前提ごとに、「医療・介護サービスの足元の年齢階級別の受療率等(入院・外来の受療率、サービスごとの利用率)を基に機械的に将来の患者数や利用者数を計算」した場合の「現状投影」によるものと、「地域医療構想に基づく二千二十五年度までの病床機能の分化・連携の推進、第三期医療費適正化計画による二千二十三年度までの外来医療費の適正化効果、第七期介護保険事業計画による二千二十五年度までのサービス量の見込みを基礎として計算」した場合の「計画ベース」によるものの二つの「将来見通し」を示しているところ、これによれば、二千二十五年度、二千三十年度、二千三十五年度及び二千四十年度については、例えば、「ベースラインケース」及び「計画ベース」による推計の場合、それぞれ十五・三兆円、十八・六兆円、二十二・三兆円及び二十五・八兆円と示している。

四について

 「前記三について、介護給付費の増加と連動して、介護保険料及び保険料率も上昇し続けるのか」とのお尋ねについては、三についてでお答えしたとおり、「年度ごとの推計」をしていないため、お答えすることは困難である。また、「介護保険料及び保険料率がどの程度上昇するのか」とのお尋ねについては、御指摘の「年度ごとに」推計していないが、社会保障の将来見通しにおいて、二千二十五年度及び二千四十年度については、例えば、「ベースラインケース」及び「計画ベース」による推計の場合、「一号保険料(二千十八年度賃金換算)」は、それぞれ約七千二百円及び約九千二百円、「二号保険料 協会けんぽ・健保組合」は、それぞれ二・〇パーセント及び二・六パーセント、「二号保険料 市町村国保(二千十八年度賃金換算)」は、それぞれ約三千五百円及び約四千四百円と示している。

五及び七について

 御指摘の「介護給付費の増加の抑制に係る施策」及び「介護給付費の抑制について」の「今後の方針」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、給付と負担の在り方については、介護サービスの利用者負担について、介護保険料の上昇を可能な限り抑えつつ、現役世代に過度な負担を求めず、高齢者に係る世代内の負担の公平化を図るため、これまで、累次の改正により、法第四十九条の二及び第五十九条の二の規定による一定以上の所得を有する者の利用者負担の引上げ等の見直しを行ってきたところである。

 今後も介護給付費の増加が見込まれる中、サービスの質を確保しつつ、介護保険制度の持続可能性を高めることは重要であり、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」(令和五年十二月二十二日全世代型社会保障構築本部決定)等に基づき、給付と負担の在り方について、引き続き、検討を進めてまいりたい。

六について

 御指摘の「介護給付費の増加の抑制として、・・・直ちに実施すべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、政府としては、例えば、「「介護給付適正化計画」に関する指針」(令和五年九月十二日付け老介発〇九一二第一号厚生労働省老健局介護保険計画課長通知別紙)に基づき、「受給者が真に必要とする過不足のないサービスを、事業者が適切に提供するよう促すこと」等を目的に、「介護給付の適正化のために保険者が行う適正化事業」として、「要介護認定の適正化」、「ケアプラン等の点検」、「医療情報との突合・縦覧点検」等を推進しているところである。