第217回国会(常会)
内閣参質二一七第五一号 令和七年三月十四日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員柳ヶ瀬裕文君提出ねんきん定期便に記載されている老齢厚生年金額が実際の受給金額より少ない可能性等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員柳ヶ瀬裕文君提出ねんきん定期便に記載されている老齢厚生年金額が実際の受給金額より少ない可能性等に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねの「五十歳未満かつ総報酬制導入後の加入期間のみを有する人に送付されるねんきん定期便」に関しては、御指摘のとおりである。 二及び三について お尋ねの「五十歳未満かつ総報酬制導入後の加入期間のみを有する人に送付されるねんきん定期便」において、御指摘の「老齢厚生年金額」として「本来水準年金額」を記載し、「従前額保障年金額の方が大きい場合であっても、従前額保障年金額をねんきん定期便に記載しない理由」については、「五十歳未満」の人は年金の受給まで相応の期間があり、今後の経済状況等によっては「本来水準年金額」に変動が起こり、必ずしも将来にわたって御指摘のように「二〇一七年度以降は全て、従前額保障年金額の方が大きい値になる」及び「従前額保障年金額が適用される」とは限らず、また、年金給付に関する情報を分かりやすくお示しするよう、「ねんきん定期便」の「送付」までの厚生年金保険への加入による保険料の納付実績を基に単純に計算した「本来水準年金額」を示すことが適当であると考えているためであり、御指摘のように「従前額保障年金額をねんきん定期便に記載すべき」とは考えていない。 なお、「総報酬制導入後の加入期間」に加え、「総報酬制導入」前の「加入期間」を「有する人」の「老齢厚生年金額」は、一で御指摘の「厚生年金保険法第四十三条」の規定に加え、国民年金法等の一部を改正する法律(平成十二年法律第十八号)附則第二十条及び第二十一条の規定により、「総報酬制導入」前の「加入期間」も勘案して、「本来水準年金額」に相当する額(以下「「本来水準年金額」相当額」という。)及び「従前額保障年金額」に相当する額(以下「「従前額保障年金額」相当額」という。)が計算されるところ、「五十歳未満」であって、「総報酬制導入後の加入期間」に加え、「総報酬制導入」前の「加入期間」を「有する人に送付されるねんきん定期便」においても、同様の考え方で、「本来水準年金額」相当額のみを記載している。 また、「五十歳」以上の「人に送付されるねんきん定期便」においては、年金の受給開始年齢に近く一般に相応の厚生年金保険への加入実績を有するため、老後の生活をイメージしやすいよう実態に即した形で「老齢厚生年金額」を示すことが適当であると考えており、「老齢厚生年金額」として、「ねんきん定期便」の「送付」前の厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第二十条第一項に規定する標準報酬月額で六十歳まで同じ条件で加入し続けたものと仮定して計算した「本来水準年金額」相当額及び「従前額保障年金額」相当額を比較した上で、大きい方の額を記載している。 四及び五について お尋ねの「五十歳未満かつ総報酬制導入後の加入期間のみを有する人に送付されるねんきん定期便」においては、御指摘の「五十歳以降に送付されるねんきん定期便」の場合と異なり、御指摘のとおり「経過的加算額を記載していない」が、お尋ねのその「理由」としては、「五十歳未満」の人は年金の受給まで相応の期間があり、今後の加入状況によっては「経過的加算額」の計算結果に幅が生じ、現時点で正確な情報をお示しすることは困難であり、年金給付に関する情報を分かりやすくお示しするよう、「ねんきん定期便」の「送付」までの厚生年金保険への加入による保険料の納付実績を基に単純に計算した一で御指摘の「本来水準年金額」のみを示すことが適当であると考えているためであり、御指摘のように「経過的加算額を記載すべき」とは考えていない。なお、「五十歳未満」であって、「総報酬制導入後の加入期間」に加え、「総報酬制導入」前の「加入期間」を「有する人に送付されるねんきん定期便」においても、同様の考え方で、「本来水準年金額」相当額のみを記載している。 六について 御指摘の「ねんきん定期便又はねんきんネット等」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、「五十歳未満」の人の「ねんきん定期便又はねんきんネット」においては、二及び三についてで述べた「五十歳未満かつ総報酬制導入後の加入期間のみを有する人に送付されるねんきん定期便」に関する「理由」と同様、年金給付に関する情報を分かりやすくお示しするよう、厚生年金保険への加入による保険料の納付実績を基に単純に計算した「老齢厚生年金額」を示すことが適当であると考えており、「総報酬制導入後の加入期間のみを有する人」には「本来水準年金額」を、「総報酬制導入後の加入期間」に加え、「総報酬制導入」前の「加入期間」を「有する人」には「本来水準年金額」相当額を示すことが適当であると考えているため、御指摘のように「老齢厚生年金額が本来水準年金額と従前額保障年金額のいずれであるかを記載することを検討すべき」とは考えていない。 また、「五十歳」以上の人の「ねんきん定期便又はねんきんネット」においては、「本来水準年金額」相当額及び「従前額保障年金額」相当額を比較した上で、大きい方の額を「記載」しているが、年金給付に関する情報を分かりやすくお示しする観点からは、「老齢厚生年金額が本来水準年金額と従前額保障年金額のいずれであるかを記載することを検討すべき」とまでは考えていない。 いずれにせよ、「五十歳未満」であるか「五十歳」以上であるかにかかわらず、「ねんきん定期便又はねんきんネット」「に現在記載されている老齢厚生年金額が本来水準年金額と従前額保障年金額のいずれ」かになるということや、四及び五で御指摘の「経過的加算」等を含め、年金制度の仕組みについては、厚生労働省及び日本年金機構のホームページ並びに「ねんきんネット」も活用しながら、幅広い周知に努めてまいりたい。 |