質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第四七号
  令和七年三月十一日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員浜田聡君提出費用対効果が不明確なまま薬価基準収載された医薬品に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出費用対効果が不明確なまま薬価基準収載された医薬品に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 お尋ねの「有効性」の「判断基準」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「レカネマブの有効性」については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の審査報告書において、「認知機能及び日常生活機能の両方を評価し得る」指標である「CDR―SB」を用いて、「早期AD患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(三〇一試験)」が実施され、「本薬群でプラセボ群と比較して有意なCDR―SBの悪化抑制効果」等が示され、「臨床的に意義のある本薬の有効性が示されたと判断する」等とされており、当該審査報告書等を踏まえ、令和五年八月二十一日の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において審議が行われ、その結果を踏まえて厚生労働大臣が医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「法」という。)第十四条第一項の規定による承認を行ったものである。

 また、お尋ねの「薬価の妥当性」の「判断基準」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「レカネマブ」の「薬価の妥当性」については、中央社会保険医療協議会議事規則(平成二十八年三月中央社会保険医療協議会総会了承)第十四条に基づき、中央社会保険医療協議会が「新薬の薬価算定等について調査審議するため必要があるとき」に「意見を聴くことができる」とされている「医学、歯学、薬学、医療経済学等に係る専門的知識を有する者により構成される薬価算定組織」が令和五年十一月二十八日及び同年十二月五日に開催され、「薬価算定の基準について」(令和五年二月十五日付け保発〇二一五第二号厚生労働省保険局長通知別添)の「第二章 新規収載品の薬価算定」の「第一部 新薬の薬価算定」の「第二節 類似薬がない新薬の場合」等に定めるところにより、「原価計算方式」等によって、お尋ねの「レカネマブ」の「薬価」が算定され、同月十三日に開催された同協議会総会において了承された上で、使用薬剤の薬価(薬価基準)(平成二十年厚生労働省告示第六十号)別表において、「妥当」なものとして当該「薬価」を定めたものである。

三について

 お尋ねの「これまでに費用対効果が不明確なまま薬価基準収載された医薬品」の意味するところが明らかではないが、いずれにせよ、我が国においては、「医療用医薬品の薬価基準収載等に係る取扱いについて」(令和六年二月十四日付け産情発〇二一四第二号・保発〇二一四第二号(令和七年二月十九日最終改正)厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官及び保険局長連名通知)において、「薬価基準収載の時期」について、「新医薬品の薬価基準収載が施行されるまでの標準的な事務処理期間は、当該新医薬品の承認から原則として六十日以内、遅くとも九十日以内とする」とすることにより「薬価基準収載」を迅速に行うこととし、御指摘の「費用対効果」については、「薬価基準収載された」後、市場規模が大きい、又は著しく価格の高い医薬品を評価の対象とし、これと代替することが想定され得る品目のうち治療効果がより高いものと比較しながら、費用対効果の評価を行い、評価結果に応じて対象品目の価格調整を行っているところである。

四及び五について

 御指摘の「医薬品の有効性」について「定期的に見直されるべき」とのお尋ねについては、法第十四条の四(法第十九条の四において準用する場合を含む。)の規定により、例えば、法第十四条の四第一項第一号に規定する新医薬品の製造販売の承認を受けた者は、同項に定める期間内に申請して、厚生労働大臣によるその品質、有効性及び安全性に関する事項の再審査を受けなければならないこととされ、同大臣は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和三十六年厚生省令第一号)第五十九条の規定による当該再審査の申請書に添付される資料等に基づき、当該新医薬品の品質、有効性及び安全性について確認を行うこととされているところであり、これらの規定に基づき適切に対応することとしている。

 また、お尋ねの「薬価基準収載後どのように適正化を図るのか」及び御指摘の「既存の薬価改定制度において十分な調整がなされている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「薬価の妥当性」について「定期的に見直されるべき」とのお尋ねについては、「薬価基準収載された医薬品」の薬価については、「薬価算定の基準について」(令和七年二月十九日付け保発〇二一四第一号厚生労働省保険局長通知別添)に基づき、例えば、医薬品の年間販売額が、当該医薬品の薬価基準収載時における当該医薬品の製造販売業者の当初の見込みを大きく超えた場合等には、当該医薬品の市場規模の拡大に応じた薬価の再算定を行うこととしているほか、「小児に係る効能又は効果等が追加された既収載品」等に該当する場合には、「補正加算率を乗じて得た額を加えた額に改定する」こととしている。また、三についてで述べたとおり、御指摘の「薬価基準収載された」後、一定の医薬品を対象として、費用対効果の評価を行い、評価結果に応じて対象品目の価格調整を行っているところである。さらに、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二四」(令和六年六月二十一日閣議決定)において、「引き続き迅速な保険収載の運用を維持した上で、イノベーションの推進や現役世代等の保険料負担に配慮する観点から、費用対効果評価の更なる活用の在り方について、医薬品の革新性の適切な評価も含め、検討する。」としており、これに基づき、「費用対効果評価の更なる活用」に向けて検討してまいりたい。

六について

 お尋ねの趣旨が明らかではないが、いずれにせよ、御指摘の「薬価基準収載の妥当性」に関しては、一及び二について、三について並びに四及び五についてでお答えしたとおりである。