第217回国会(常会)
内閣参質二一七第四四号 令和七年三月十一日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員浜田聡君提出公立病院への繰出金の根拠と公平性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員浜田聡君提出公立病院への繰出金の根拠と公平性に関する質問に対する答弁書 一の1について お尋ねの「公立病院への繰出金の法的根拠」の意味するところが必ずしも明らかではないが、地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)が適用される公立病院の特別会計への公営企業繰出金(以下「公営企業繰出金」という。)は、同法第十七条の二から第十八条の二までの規定に基づき支出されており、地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第八十一条に規定する公営企業型地方独立行政法人(以下「公営企業型地方独立行政法人」という。)である公立病院の設立団体が負担する経費等(以下「運営費負担金等」という。)は、同法第四十二条及び第八十五条の規定に基づき支出されている。 一の2について 公営企業繰出金及び運営費負担金等(以下「公営企業繰出金等」という。)の各年度の総額については、総務省において調査している地方公営企業決算統計(以下「決算統計」という。)によれば、平成二十六年度が約八千二百六十二億円、平成二十七年度が約八千三十二億円、平成二十八年度が約七千九百二十四億円、平成二十九年度が約八千八十三億円、平成三十年度が約八千二百六十六億円、令和元年度が約八千二百六十九億円、令和二年度が約八千四百九十四億円、令和三年度が約八千四百十一億円、令和四年度が約八千五百四億円、令和五年度が約八千六百二十六億円である。 また、各年度の当該総額を当該年度の決算統計における公立病院(地方公営企業法が適用される公立病院及び公営企業型地方独立行政法人である公立病院をいう。以下同じ。)の数(建設中の公立病院の数を除く。)で除した金額については、平成二十六年度が約九・四億円、平成二十七年度が約九・一億円、平成二十八年度が約九・一億円、平成二十九年度が約九・三億円、平成三十年度が約九・六億円、令和元年度が約九・六億円、令和二年度が約十億円、令和三年度が約九・九億円、令和四年度が約十億円、令和五年度が約十・一億円である。 これらの金額の推移については、各地方公共団体が、地方公営企業法及び地方独立行政法人法の規定に基づき支出した結果であると認識している。 二の1について 御指摘の「「イコールフッティングではない」との批判」の意味するところが必ずしも明らかではないが、公立病院と民間の医療機関との間で財政支援等に差があるといった意見があることは承知している。 公立病院は、採算性確保の上で難しい医療等を担っていることなどから、地方公営企業法及び地方独立行政法人法の規定に基づき、公営企業繰出金等が支出されているものと認識している。 二の2について 御指摘の「公立病院と民間病院の競争を適正化」の意味するところが必ずしも明らかではないが、毎年度、「令和六年度の地方公営企業繰出金について」(令和六年四月一日付け総財公第二十六号総務副大臣通知。以下「繰出金通知」という。)等において公営企業繰出金の基本的な考え方を通知しており、運営費負担金等についても「地方独立行政法人会計基準の改訂に係る公営企業型地方独立行政法人の取扱いについて」(令和四年九月二十八日付け総財公第百二十号総務省自治財政局公営企業課長通知。以下「取扱通知」という。)において当該基本的な考え方に準じて設立団体が適切に負担することとしているところ、引き続きこれらの通知に基づき適正な運用を図る必要があると認識している。 三の1について 御指摘の「財政支援の透明性」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府においては、決算統計により、公営企業繰出金等を公表しているところである。 三の2及び四の2について お尋ねの「問題意識」及び「何らかの対応」の意味するところが必ずしも明らかではないが、二の2についてで述べたように、毎年度、繰出金通知等において公営企業繰出金の基本的な考え方を通知しており、運営費負担金等についても取扱通知において当該基本的な考え方に準じて設立団体が適切に負担することとしているところ、引き続きこれらの通知に基づき適正な運用を図る必要があると認識している。 また、公立病院及び民間の医療機関の役割は、その立地条件や医療機能等により様々であることから、現時点においては、御指摘の「繰出基準」をこれまで以上に明確化することは困難であると考えている。 四の1について 前段のお尋ねについては、公立病院は、採算性確保の上で難しい医療等を担っているところ、公立病院及び民間の医療機関の役割は、その立地条件や医療機能等により様々であると認識している。 後段のお尋ねについては、お尋ねの「公平な競争環境を確保」及び「問題意識」の意味するところが必ずしも明らかではないが、地域の医療提供体制に関しては、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の四第一項の規定に基づき、地域の実情に応じて、都道府県が定める医療計画を踏まえ、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図っていくことが必要であると認識している。 |