質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第三一号
  令和七年二月二十八日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員石垣のりこ君提出一部の医療機関でMRワクチンが不足していることに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石垣のりこ君提出一部の医療機関でMRワクチンが不足していることに関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、一部の製造販売業者による乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン(以下「MRワクチン」という。)の出荷停止により、御指摘の「流通面での問題」が一時的に生じ、一部の地域や医療機関でのMRワクチンの偏在等が生じているものと考えている。

二について

 「流通面でどのような対策が講じられてきたのか」とのお尋ねについては、これまで、厚生労働省において、必要に応じ、卸売販売業者、医療機関、製造販売業者等に対し、必要な要請等を行い、御指摘の「流通面での問題」の解消に努めてきたところである。

 具体的には、例えば、御指摘の「平成二十八年当時」においては、「麻しんの広域的発生に伴う乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチンの供給に係る対応について」(平成二十八年九月九日付け厚生労働省健康局健康課及び結核感染症課連名事務連絡)において、都道府県等を通じて、卸売販売業者に対して「必要量の供給を随時行い、MRワクチンの偏在が起こらないよう配慮する」ことを求めるとともに、医療機関等に対して「MRワクチンの予約・注文を行う場合にあっては、・・・必要な本数に限り行うこと」を求めたところであり、また、製造販売業者に対しては、各社におけるMRワクチンの出荷計画を把握しながら、安定供給を求める等のやり取りを行ったところである。令和六年には、一部の製造販売業者によるMRワクチンの自主回収により、供給が不安定となるおそれが生じたこと等を踏まえ、卸売販売業者及び医療機関等に対しては、「麻しんに係る定期の予防接種の確実な実施に向けた乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン及び乾燥弱毒生麻しんワクチンの安定供給の徹底について」(令和六年三月二十一日付け厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部予防接種課事務連絡)において「卸売販売業者は、医療機関等からの予約・注文を受ける場合には、必要に応じてワクチンに関する在庫量等について情報提供」を行うこと等について具体的に記載し、さらに、「乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチンの今後の供給見通し等について」(令和六年十二月十二日付け厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部予防接種課及び感染症対策課連名事務連絡)において「MRワクチンの出荷量の見通しの状況」を情報提供した上で、都道府県等を通じて、御指摘の「平成二十八年当時」の事務連絡と同様の内容を求めたところであり、また、製造販売業者に対しては、「平成二十八年当時」と同様の要請等を行っているほか、「医療用医薬品の供給不足に係る報告について(依頼)」(令和六年三月二十八日付け医政産情企発〇三二八第二号・感予発〇三二八第二号・医薬血発〇三二八第二号厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課長、健康・生活衛生局感染症対策部予防接種課長及び医薬局血液対策課長連名通知)等において、都道府県及び一般社団法人日本ワクチン産業協会等を通じて、「今後の供給不足が生じるおそれがある場合に早期報告により当該不足を未然防止することを目的とする供給不安報告」及び「供給情報の速やかな医療機関への共有を目的とする供給状況報告」についての「具体的な手続き等」を示しながら、報告すべき情報の拡充を求めているところである。

三について

 お尋ねの「対応方針や施策」については、予防接種に関する基本的な計画(平成二十六年厚生労働省告示第百二十一号。以下「計画」という。)において、御指摘のような「場合」も含め、「第五 予防接種の研究開発の推進及びワクチンの供給の確保に関する施策を推進するための基本的事項」において、「感染症の流行時等、一時的にワクチンの需給が逼迫した場合は、ワクチンは一般的に製造開始から出荷までに要する期間が長く、需要の変動に合わせて短期間で生産調整することが困難であるため、国、都道府県及び市町村の関与が不可欠である。このため、例えば、国がワクチン製造販売業者とワクチンの生産に関する調整を行い、前倒し出荷、在庫状況及び出荷計画の情報提供を行うことや、国、都道府県及び市町村が医師会及び卸売販売業者等関係者と連携して、ワクチンが偏在しないよう取り組むことを通じ、ワクチンの安定供給に努める必要がある。」としているところである。その上で、計画については、予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)第三条第三項に基づき再検討を行っているところ、「第五 予防接種の研究開発の推進及びワクチンの供給の確保に関する施策を推進するための基本的事項」については、「国は、平時からワクチン製造販売業者と連携し、短期間の需要の増加等による供給への影響の低減に取り組むとともに、ワクチンの需給逼(ひっ)迫が想定される場合には、例えば、同種のワクチンの製造販売業者を含めた前倒し出荷等のワクチンの生産に関する調整を行い、医療機関等に対して在庫状況や出荷計画、予防接種事務のデジタル化の取組により把握した接種率等の状況の情報提供を行い需要の適正化を図ること・・・を通じ、ワクチンの安定供給に努める必要がある。さらに、緊急時には需給の見通しが不透明となることに起因して需要が変動するおそれがあるため、国が平時から上記の取組の方針を整理し、関係者に周知し需給状況の明確化を図る」等とした改正案を取りまとめ、令和七年一月二十九日に厚生科学審議会への諮問及び同審議会の答申を経て、現在、改正に向けた作業を進めているところである。

四について

 前段のお尋ねについては、お尋ねの「対象世代の男性の風しんの抗体保有率」について、御指摘の「令和四年十二月末時点及び令和六年十二月末時点」では把握していないが、現時点で把握している限りでは、「令和四年度(二千二十二年度)感染症流行予測調査報告」(令和六年八月厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課及び国立感染症研究所感染症疫学センター公表)において、主に令和四年七月から九月までの間に行われた抗体検査の測定結果についての「風疹感受性調査」の結果として、八十六・六パーセントと示されているとおりである。

 後段のお尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたいが、いずれにせよ、今後の風しん対策の在り方については、風しんの発生状況等を踏まえ、適切に検討していくこととしている。