質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第二八号
  令和七年二月二十五日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員山本太郎君提出政府備蓄米の放出及び低所得世帯等に対する無料交付に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出政府備蓄米の放出及び低所得世帯等に対する無料交付に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「米価格高騰の影響で「米を買えなかった」又は「米を買う回数を減らした」世帯の数及び割合」及び「そのうち子育て世帯の数及び割合」については、調査していない。また、農林水産省としては、米穀の消費の状況について、毎月一回の頻度で総務省が実施している家計調査、農林水産省が実施している米穀の小売価格の分析等により把握に努めているところであり、御指摘のような調査を行うことは考えていない。

二の前段について

 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成六年法律第百十三号。以下「法」という。)第一条において、法の目的として、「主要食糧の需給及び価格の安定を図」ることとされており、また、法第三条第二項において、政府による米穀の備蓄は、「米穀の生産量の減少によりその供給が不足する事態に備え、必要な数量の米穀を在庫として保有する」ものとして定義されている。したがって、御指摘の「政府備蓄米」の「無料交付」を含めた法第四十九条第一項の「主要食糧の交付又は貸付け」については、これらの規定の考え方に沿って行う必要がある。我が国において米穀の需要が減少傾向で推移する中、前述の考え方に沿って「政府備蓄米」を活用する観点から、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律施行令(平成七年政令第九十八号。以下「令」という。)第十五条第一項において、「主要食糧の交付は・・・教育の用に供しようとする場合に行うことができる」として、その用途を限定して交付しているところである。

 御指摘の「低所得世帯」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、政府においては、同項の規定に基づき、教育を目的として子ども食堂、子ども宅食、フードバンク活動等の取組を行う者に対し、「政府備蓄米」の「無料交付」を行っていく考えである。

二の後段について

 御指摘の「低所得世帯」及び「禁止又は制限」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「政府備蓄米」を含む国の財産については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第九条第一項において、「法律に基く場合を除く外、これを交換しその他支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない」こととされていると承知している。

三及び四について

 御指摘の「低所得世帯」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、「政府備蓄米」については、二の前段についてで述べたとおり、その用途を限定して交付しているところであり、交付を受ける者の所得の状況に応じて、その者に対し条件を付さずに交付することは、御指摘の「教育の用に供しようとする場合」には該当しないと考えている。その上で、政府においては、令第十五条第一項の規定に基づき、教育を目的として子ども食堂、子ども宅食、フードバンク活動等の取組を行う者に対し、その取組の対象となる者の所得の状況にかかわらず、「政府備蓄米」の「無料交付」を行っていく考えである。

五について

 御指摘の「小売店で米が不足し、五キログラム当たりの米の小売価格が一カ月で千円程度上昇するような場合」であるか否かにかかわらず、「政府備蓄米」については、「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」(令和六年七月農林水産省策定、令和七年一月変更)に即して、「主食用米の円滑な流通に支障が生じる場合であって、農林水産大臣が必要と認めるとき」に、「買戻し条件付売渡し」を行うことができるとしたところであり、政府としては、これに基づき対応することとしている。