第217回国会(常会)
内閣参質二一七第二六号 令和七年二月二十一日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員浜田聡君提出ジュネーブ条約に加盟していない中国の運転免許保有者が日本で外免切替により簡単に国外運転免許を取得できてしまうことに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員浜田聡君提出ジュネーブ条約に加盟していない中国の運転免許保有者が日本で外免切替により簡単に国外運転免許を取得できてしまうことに関する質問に対する答弁書 一について お尋ねの「特例国等になるための基準」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「外免切替」を行うに当たり、本邦の域外にある国又は地域(以下「外国等」という。)のうち、運転免許制度等が我が国と同等の水準にあると認められる外国等の行政庁等の運転免許を有する者について、運転に関する経歴に係る質問を行い、自動車等の運転に支障がないことの確認ができた場合には、御指摘のように、道路交通法施行令(昭和三十五年政令第二百七十号)第三十四条の四第一項に規定する知識又は実技に係る確認を行わないこととする運用を行っているところであり、このような運用については、外国等の行政庁等からの要望を踏まえ、当該外国等の行政庁等が我が国の運転免許を有する者に対して同様の運用とすることを前提として、当該外国等における交通死亡事故の発生状況、当該外国等の行政庁等の運転免許を有する者であって我が国の運転免許を受けようとするもののうち、実技に係る確認において自動車等の運転に支障がないことを確認できた者の割合、当該外国等の運転免許制度と我が国の同制度を比較した結果等を判断の材料として行うこととしている。 二及び三について 一についてで述べたとおり、御指摘の「特例国等」の運転免許制度と我が国の同制度を比較するに当たり、御指摘の「特例国等における運転免許試験の内容」等を確認していることから、お尋ねの「把握していない国及び地域」はない。また、令和七年一月末現在、お尋ねの「把握している国及び地域」は、二十九の国又は地域(アイスランド共和国、アイルランド、アメリカ合衆国(インディアナ州(自動車等の運転に必要な知識に係る確認のみを行う。)、オハイオ州、オレゴン州、コロラド州、バージニア州、ハワイ州、メリーランド州及びワシントン州に限る。)、イタリア共和国、オーストラリア連邦、オーストリア共和国、オランダ王国、カナダ、ギリシャ共和国、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国、スイス連邦、スウェーデン王国、スペイン王国、スロベニア共和国、大韓民国、チェコ共和国、デンマーク王国、ドイツ連邦共和国、ニュージーランド、ノルウェー王国、ハンガリー、フィンランド共和国、フランス共和国、ベルギー王国、ポーランド共和国、ポルトガル共和国、モナコ公国、ルクセンブルク大公国及び台湾)である。 四について 前段のお尋ねについては、令和三年度に警察庁が調査会社に委託して実施した調査研究によれば、中華人民共和国の運転免許試験は、運転に関する法令等の知識に係る試験、試験場内における運転の技能に係る試験、公道における運転の技能に係る試験及び交通安全に関する知識に係る試験で構成されており、その合格基準については、知識に係る試験及び公道における運転の技能に係る試験は全体の九割、試験場内における運転の技能に係る試験は全体の八割(一部の運転免許については全体の九割)であると承知している。 後段のお尋ねについては、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号。以下「法」という。)第九十七条の二第三項は、道路交通に関する条約(昭和三十九年条約第十七号)の締約国であるか否かにかかわらず、外国等の行政庁等の運転免許を有する者については、既に当該外国等において自動車等を運転する能力を有することが確認されていることを踏まえ、その者が自動車等を運転することに支障がないことを確認した上で、運転免許試験の一部を免除しているものであり、道路交通の安全確保のために必要な措置は講じられているものと認識している。 五について お尋ねの「外免切替の申請者数」及び「外免切替によって我が国の運転免許を取得又は保有した者」の「国籍別人数」について統計的に把握していないため、「直近十年の国籍別人数」についてお答えすることは困難であるが、平成二十六年から令和五年までの十年間に、御指摘の「外免切替」の手続により我が国の運転免許証を交付した件数のうち、当該運転免許証の交付を受けた者が有していた外国等の行政庁等の運転免許の発給国別の上位五箇国とその件数を年ごとにお示しすると、平成二十六年については中華人民共和国が四千六百五十一件、大韓民国が四千百七十七件、アメリカ合衆国が三千八百二十件、ベトナム社会主義共和国が千六百二十四件及びブラジル連邦共和国が千五百七十件であり、平成二十七年については中華人民共和国が五千五百七十六件、大韓民国が四千七百十九件、アメリカ合衆国が三千六百五十三件、ブラジル連邦共和国が二千四百七十二件及びベトナム社会主義共和国が千八百二件であり、平成二十八年については中華人民共和国が六千百七十六件、大韓民国が四千八百九十四件、ブラジル連邦共和国が四千三百十二件、アメリカ合衆国が三千七百三十三件及びベトナム社会主義共和国が二千三百六十七件であり、平成二十九年については中華人民共和国が六千二百五十九件、大韓民国が五千二百三十七件、ブラジル連邦共和国が四千九百四十六件、アメリカ合衆国が四千四十七件及びベトナム社会主義共和国が三千二百十三件であり、平成三十年については中華人民共和国が六千五百六十三件、ブラジル連邦共和国が六千二百五十一件、大韓民国が五千四百五十五件、ベトナム社会主義共和国が四千三百二十八件及びアメリカ合衆国が三千七百八十九件であり、令和元年については中華人民共和国が七千五百六十六件、ブラジル連邦共和国が五千九百五十七件、ベトナム社会主義共和国が五千九百五十一件、大韓民国が五千四百二十八件及びアメリカ合衆国が三千九百五十件であり、令和二年についてはベトナム社会主義共和国が七千百三十件、中華人民共和国が六千四十件、大韓民国が四千三百十二件、アメリカ合衆国が四千百四十四件及びブラジル連邦共和国が四千四十件であり、令和三年についてはベトナム社会主義共和国が一万二百四十七件、中華人民共和国が六千六百八十七件、大韓民国が三千六百八十七件、アメリカ合衆国が三千四百十五件及び台湾が二千百三十二件であり、令和四年についてはベトナム社会主義共和国が一万二千百三十八件、中華人民共和国が七千四十七件、大韓民国が三千九百四十五件、アメリカ合衆国が三千八百件及びブラジル連邦共和国が二千五百九十八件であり、令和五年についてはベトナム社会主義共和国が一万五千八百七件、中華人民共和国が一万千二百四十七件、アメリカ合衆国が四千二百五十件、ブラジル連邦共和国が三千二百六件及び大韓民国が三千百六十五件である。 六について お尋ねの「適性試験」については、道路交通法施行規則(昭和三十五年総理府令第六十号)第二十三条第一項において、視力、色彩識別能力、深視力(一部の運転免許に限る。)、聴力及び運動能力について行うものと規定するとともに、それぞれの試験内容等の基準を定めている。 また、お尋ねの「知識確認」については、警察庁から都道府県警察に対して、「「外国免許関係事務取扱い要領」の改正について(通達)」(令和五年十一月二十日付け警察庁丙運発第十八号警察庁交通局長通達。以下「要領」という。)により、「外国語による質問文を付した自動車等の運転について必要な知識に関する絵図面等により十問行うこととする」と指示していること等を踏まえ、各都道府県公安委員会において、自動車等の運転に支障がないかどうかを確認する観点から問題を作成している。 さらに、お尋ねの「技能確認試験」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、実技に係る確認については、要領で示している「実技実施方法」及び「実技成績表(外免切替え)(例示)」に基づき、各都道府県公安委員会において、進路の変更等の基本的な走行に関する技能の有無について確認することとしている。 七について お尋ねの「国外運転免許証の申請数」及び「国籍別人数」について統計的に把握していないため、「直近十年の国籍別人数」についてお答えすることは困難であるが、法第百七条の七第一項に規定する国外運転免許証について、平成二十六年から令和五年までの十年間における①日本国籍を有する者に対する交付件数及び②外国籍等を有する者に対する交付件数を年ごとにお示しすると、それぞれ次のとおりである。また、②の国籍別の内訳については把握していない。 平成二十六年 ①二十九万三千九百五十六件 ②一万千七百五十七件 平成二十七年 ①三十万四百四十六件 ②一万九百四十二件 平成二十八年 ①三十万六千八百三十七件 ②一万四千三百三十七件 平成二十九年 ①三十一万千五十五件 ②一万五千六百五十五件 平成三十年 ①三十一万七千三百十三件 ②一万七千二百一件 令和元年 ①三十二万七千三百八十三件 ②一万八千三百五十四件 令和二年 ①七万八千三百十七件 ②四千五百五十一件 令和三年 ①六万千八百二件 ②五千六百五十八件 令和四年 ①十五万四千三十件 ②一万六千百六件 令和五年 ①二十四万八百五十二件 ②二万千四百十六件 |