第217回国会(常会)
内閣参質二一七第一五号 令和七年二月十二日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員浜田聡君提出フジ・メディア・ホールディングス等の認定放送持株会社への外資規制の実効性等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員浜田聡君提出フジ・メディア・ホールディングス等の認定放送持株会社への外資規制の実効性等に関する質問に対する答弁書 一について 総務省においては、令和四年四月一日、情報流通行政局放送政策課に、外資規制審査官を設置したほか、これに係る体制を整備した。また、これらに加え、電波法及び放送法の一部を改正する法律(令和四年法律第六十三号)により放送法(昭和二十五年法律第百三十二号。以下「法」という。)及び電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)を改正するとともに、関係政省令を改正し、それらの運用を通じて、放送事業者等に対する外資規制の実効性を確保しているものと考えている。 二及び五について お尋ねの「検証している」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、認定放送持株会社(法第二条第二十七号に規定する認定放送持株会社をいう。以下同じ。)は、法第百五十九条第二項第五号ロに規定する外国人等直接保有議決権割合(以下「外国人等直接保有議決権割合」という。)又は外国人等直接保有議決権割合と同号ロに規定する外国人等間接保有議決権割合とを合計した割合(以下「外国人等保有議決権割合」という。)に法第百六十条第二号の変更があった場合には、同条の規定に基づき、変更の都度、放送法施行規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十号。以下「規則」という。)別表第六十四号の注記に基づき、当該変更内容を証する書類を添付して、総務大臣に届け出なければならないとされている。 規則第百九十八条第三項の規定により、外国人等直接保有議決権割合又は外国人等保有議決権割合の変更に際して、法第百六十一条第一項若しくは第二項において準用する法第百十六条第二項の規定により、株主名簿に記載し、若しくは記録することを拒否した株式がある場合又は法第百六十一条第二項において準用する法第百十六条第三項の規定により同項に規定する特定外国株主の議決権が制限されている場合も、法第百六十条に規定する変更の届出を要することとされており、前述の書類を添付することとされている。 また、法第百六十一条の二の規定に基づき、認定放送持株会社は、規則第二百三条の二の規定により、事業年度ごとに、総務大臣に法第百六十一条第一項に規定する外国人等による議決権の保有制限等に係る規定の遵守状況を報告しなければならないとされており、外国人等直接保有議決権割合又は外国人等保有議決権割合に法第百六十条第二号の総務省令で定める変更があった場合には、法第百六十一条の二第二号の規定により、規則別表第六十四号の二の注記に基づき、当該変更内容を証する書類を添付して、報告しなければならないとされている。 以上のとおり、認定放送持株会社は、外国人等直接保有議決権割合又は外国人等保有議決権割合の変更の都度又は法第百六十条第二号の総務省令で定める変更があった事業年度においてはその経過後に、規則別表第六十四号又は第六十四号の二の注記に基づき添付する、株主名簿を含む変更内容を証する書類により、当該書類に係る届出又は報告の内容を確認しているところであり、外国人等直接保有議決権割合又は外国人等保有議決権割合の変更の有無にかかわらず、お尋ねのように「決算期末時点の株主名簿を取り寄せ」ることは考えていない。 三について お尋ねの「外国人株主の名前」及び「外国人株主別の所有議決権個数」については、二及び五についてで述べたとおり、外国人等直接保有議決権割合又は外国人等保有議決権割合の変更の都度又は法第百六十条第二号の総務省令で定める変更があった事業年度においてはその経過後に、規則別表第六十四号又は第六十四号の二の注記に基づき添付する、変更内容を証する書類により、当該書類に係る届出又は報告の内容の確認に必要な範囲内で把握している。 また、お尋ねの「国籍」については、把握していない。 四について お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、認定放送持株会社の議決権を有する株主に当該認定放送持株会社の株式を信託し、又は当該株主と当該株式の保管及び管理の契約をしている者については、承知していない。 六について お尋ねの「株式の真の所有者」の意味するところが必ずしも明らかではないが、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二十四条第一項に規定する有価証券報告書に係る企業内容等の開示に関する内閣府令(昭和四十八年大蔵省令第五号)第十五条に規定する第三号様式の「記載上の注意」において、上場会社等は、「大株主の状況」について、「所有株式数」を「他人・・・名義で所有している株式数を含めた実質所有により記載すること」とされている。また、同法第二十七条の二十三の規定に基づき、上場会社等が発行する株券等を自己又は他人の名義をもって保有する者であって、当該株券等に係るその株券等保有割合が百分の五を超えるものは、大量保有報告書の提出が義務付けられている。同様式の「記載上の注意」において、上場会社等は、「大量保有報告書等に記載された当該書類の提出者の株券等の保有状況が株主名簿の記載内容と相違するときには、実質所有状況を確認して記載」し、「記載内容が大幅に相違している場合であって実質所有状況の確認ができないときには、その旨及び大量保有報告書等の記載内容を注記すること」とされている。 その上で、政府としては、企業と投資家の対話を促進する観点から、企業が、自社の株式に係る議決権の行使について指図を行うことができる権限を有する者であって、株主名簿上の株主でないものを知ることは重要であると考えており、現在、必要な制度の整備に向けた検討を行っているところである。 |