質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第一〇号
  令和七年二月四日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員柳ヶ瀬裕文君提出税収弾性値の算出に用いる計算式等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員柳ヶ瀬裕文君提出税収弾性値の算出に用いる計算式等に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「「令和六年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」における税収弾性値の算出」においては、①税収の伸び率と②名目経済成長率を用いており、当該試算において用いた昭和五十一年度から令和元年度までの各年度における①及び②をお示しすると、それぞれ以下のとおりである。

昭和五十一年度 ①十二・三パーセント ②十二・四パーセント

昭和五十二年度 ①十二・四パーセント ②十一・〇パーセント

昭和五十三年度 ①十・〇パーセント ②九・七パーセント

昭和五十四年度 ①十四・四パーセント ②八・〇パーセント

昭和五十五年度 ①十・九パーセント ②九・〇パーセント

昭和五十六年度 ①三・三パーセント ②六・五パーセント

昭和五十七年度 ①四・〇パーセント ②四・四パーセント

昭和五十八年度 ①五・九パーセント ②四・六パーセント

昭和五十九年度 ①七・四パーセント ②六・七パーセント

昭和六十年度 ①五・六パーセント ②七・二パーセント

昭和六十一年度 ①八・八パーセント ②三・六パーセント

昭和六十二年度 ①十六・〇パーセント ②五・九パーセント

昭和六十三年度 ①十三・三パーセント ②七・〇パーセント

平成元年度 ①十・五パーセント ②七・三パーセント

平成二年度 ①八・二パーセント ②八・六パーセント

平成三年度 ①〇・二パーセント ②四・九パーセント

平成四年度 ①マイナス九・九パーセント ②二・〇パーセント

平成五年度 ①マイナス一・三パーセント ②マイナス〇・一パーセント

平成六年度 ①二・三パーセント ②一・四パーセント

平成七年度 ①二・四パーセント ②二・六パーセント

平成八年度 ①〇・四パーセント ②二・五パーセント

平成九年度 ①マイナス四・二パーセント ②〇・七パーセント

平成十年度 ①マイナス六・八パーセント ②マイナス一・五パーセント

平成十一年度 ①二・六パーセント ②マイナス〇・八パーセント

平成十二年度 ①一・二パーセント ②一・四パーセント

平成十三年度 ①マイナス五・四パーセント ②マイナス一・九パーセント

平成十四年度 ①マイナス四・四パーセント ②マイナス〇・七パーセント

平成十五年度 ①二・六パーセント ②〇・五パーセント

平成十六年度 ①五・六パーセント ②〇・六パーセント

平成十七年度 ①七・八パーセント ②〇・八パーセント

平成十八年度 ①四・四パーセント ②〇・六パーセント

平成十九年度 ①〇・〇パーセント ②〇・二パーセント

平成二十年度 ①マイナス十二・一パーセント ②マイナス四・一パーセント

平成二十一年度 ①マイナス十二・九パーセント ②マイナス三・六パーセント

平成二十二年度 ①八・〇パーセント ②一・五パーセント

平成二十三年度 ①一・二パーセント ②マイナス一・〇パーセント

平成二十四年度 ①二・七パーセント ②マイナス〇・一パーセント

平成二十五年度 ①六・六パーセント ②二・七パーセント

平成二十六年度 ①五・九パーセント ②〇・七パーセント

平成二十七年度 ①一・五パーセント ②三・三パーセント

平成二十八年度 ①〇・二パーセント ②〇・八パーセント

平成二十九年度 ①五・五パーセント ②二・〇パーセント

平成三十年度 ①一・八パーセント ②〇・二パーセント

令和元年度 ①マイナス一・九パーセント ②マイナス〇・四パーセント

二及び三について

 令和七年一月に財務省が公表した「令和七年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」は、国の中期的な将来の財政の姿を示すという目的から、令和七年度予算における制度及び施策を前提として、令和八年度から令和十年度までの三年間の歳出及び歳入について、一定の前提の下で機械的に試算したものであり、税収の推計に当たっては、名目経済成長率と税収弾性値(税収の伸び率を名目経済成長率で除した数値をいう。以下同じ。)を用いている。

四について

 お尋ねの「税収弾性値一・一の算出に用いた期間」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「四十五年度から五十四年度までの平均税収弾性値」については、昭和五十六年四月二十三日の参議院大蔵委員会において、梅澤大蔵大臣官房審議官(当時)が「税収弾性値の一・二の基礎については、・・・四十五年度から五十四年度までの実績・・・の平均値でございます。」と答弁しているところである。

五について

 お尋ねの「税収弾性値の算出に過去十年間の平均を用いてきた」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、財務省において毎年公表している「後年度歳出・歳入への影響試算」については、税収について、税収弾性値に係る推計方法も含め、毎年検討を行った上で試算を行っているところであり、例えば、平成二十六年一月に同省が公表した「平成二十六年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」における税収の推計に当たり、昭和五十一年度から昭和六十年度までの十年間の平均的な税収弾性値を用いた理由については、平成二十六年三月十八日の参議院財政金融委員会において、田中財務省主税局長(当時)が「バブル期以降、名目成長率の絶対値が極めて小さくなっている、あるいはマイナスの場合もあるわけですが、その状況下で税収弾性値が大きな振れを示しておりまして、安定した実績のデータという点に着目をいたしまして、比較的安定的な経済成長を実現していた時代の、バブル期以前の平均的な値である一・一を用いているということでございます。」と答弁しているところである。

六について

 お尋ねの「「令和六年度予算の後年度歳入・歳出への影響試算」における税収弾性値について、算出した日付」については、その具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和六年二月に財務省が公表した「令和六年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」に関しては、その公表に向け、税収弾性値に係る推計も含め、同省において作業を進めたところであり、御指摘の「令和六年一月三十日」に限って作業を行ったものではない。税収の推計に当たっては、過去の平均的な税収弾性値として、昭和五十一年度から令和元年度までの四十四年間の平均的な税収弾性値である一・一を用いている。

七から九までについて

 一についてで述べた数値に基づき、御指摘の「平成二十二年度から令和元年度」までの期間の平均的な税収弾性値を試算すると、三・二三となることは事実であるが、財務省が公表している「後年度歳出・歳入への影響試算」における税収の推計に当たっては、それぞれの直近十年間の平均的な税収弾性値を用いているものではない。このため、「令和六年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」に関する作業を進める中においては、御指摘の「過去十年間の平均の税収弾性値」については試算しておらず、また、御指摘の「令和六年一月三十日に令和六年度の税収弾性値を算出した際に、前記七で示した過去十年間の平均の税収弾性値三・二三を用いず、過去四十四年間の平均(税収弾性値一・一)に変更をした」事実はない。「令和六年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」において、税収の推計に当たって、過去の平均的な税収弾性値として、昭和五十一年度から令和元年度までの四十四年間の平均的な税収弾性値である一・一を用いた理由については、令和六年三月二十二日の参議院財政金融委員会において、青木財務省主税局長が「税収弾性値は分母と分子があって、分母は名目成長率でございますが、名目成長率が非常に低い、もう例えば零パーセント成長に近いような、そういう期間に焦点を当てて試算を行っているんじゃないか、つまり分母がすごく小さいと少しの税収の動きで税収弾性値がすごく大きく出る可能性があるということです。(中略)理論的に考えますと、まず税収のうち消費税、それから法人税、この二つにつきましては基本的に比例税率でございますので、その課税ベースであります消費とか法人の所得、こういったものが経済成長におおむね連動すると考えられますので、基本的には税収弾性値というのは、この二税については一、で、所得税は累進課税でございますので弾性値は一以上になることが考えられます。その上で、昨今、消費税の税収のシェアも拡大しておりますので、税収全体としての税収弾性値は、おっしゃるように単年度では非常に経済情勢に応じて大きく振れる場合があるものの、中長期的には一に近い数字が妥当だというふうに私どもとしては考えておるところでございます。」と答弁しているところであり、このような考え方に基づき試算を行うことが、御指摘のように「不適切」であるとは考えていない。