第217回国会(常会)
内閣参質二一七第六号 令和七年二月四日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員浜田聡君提出政府の「手取り」の定義に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員浜田聡君提出政府の「手取り」の定義に関する質問に対する答弁書 一及び二について 御指摘の「政府支出乗数」と「租税乗数」に関する分析については、御指摘の「Robert J. Barro and Charles J. Redlick, 「Macroeconomic Effects from Government Purchases and Taxes」 The Quarterly Journal of Economics, 126, February 2011」のように、「政府支出乗数」よりも「租税乗数」の方が大きいという結果が報告されている論文もある一方で、例えば、平成二十二年一月発行の「バブル/デフレ期の日本経済と経済政策第五巻「財政政策と社会保障」」に掲載された論文「制度情報を用いた財政乗数の計測」のように、「政府支出乗数」よりも「租税乗数」の方が小さいという結果が報告されている論文もあり、幅広い研究があるものと承知している。いずれにせよ、御指摘の「短期日本経済マクロ計量モデル(二〇二二年版)」は、標準的な経済理論を踏まえ、過去における変数相互の関係を精査した上で作成されているものと承知していることから、御指摘の「内閣府経済社会総合研究所の「短期日本経済マクロ計量モデル(二〇二二年版)の構造と乗数分析」(ESRI Research Note No.72)で示された乗数」を含め、御指摘のように「減税政策等の恒久減税政策の試算として内閣府の短期日本経済マクロ計量モデルを用いることは不適切」であるとは考えていない。 三及び四について 御指摘の「「手取りを増やす」若しくは「手取りを減らさない」」ための政策手段としては、御指摘の「減税政策」及び「補助金や助成金等の政府支出による分配」を含め、様々なものが想定される。また、御指摘のように「減税政策と政府支出では日本経済ないし国民に与える影響」が「異なること」を理由として、御指摘の「手取りを増やす」等について「明確に区別して表記すべき」であるとは考えていない。 |