第217回国会(常会)
内閣参質二一七第三号 令和七年二月四日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員神谷宗幣君提出外国資本による日本の鉱業権取得と国益に及ぼす影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員神谷宗幣君提出外国資本による日本の鉱業権取得と国益に及ぼす影響に関する質問に対する答弁書 一及び二について 鉱業法(昭和二十五年法律第二百八十九号)は、鉱物資源を合理的に開発することによって公共の福祉の増進に寄与するため、鉱業に関する基本的制度を定めることを目的としているところ、お尋ねの「日本国民又は日本国法人」については、同法において明確に定義していないが、同法第二条及び第十七条の規定については、同法附則第二項の規定による廃止前の鉱業法(明治三十八年法律第四十五号)を参考にしたものであると認識しており、その目的などについては、例えば、昭和二十五年十月二十三日の衆議院通商産業委員会において、徳永通商産業省資源庁鉱山局長(当時)が「鉱物は土地の所有権と離れた、所有権の内容以外のものとして、国がそれを掘採取得する権利を人に與える権能を持つているんだという趣旨を簡潔に現行法は表明したものではなかろうかというふうに了解されまするので、ことに、その内容は現行法ができましたときの母法であります外国の例を見ましても、大体そういう趣旨に了解されます」及び「鉱業権というものは、その国にとつてやはり基本的な重要な権利でございまするので、外国立法例も相当やはり制限的な扱いをいたしておりますから、日本におきましても制限的な扱いをいたした方がいいじやないかということで、置いたわけでございます。」と答弁したとおりである。 三及び四について お尋ねの「外国事業者」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、経済産業大臣として、鉱業法第二十一条第一項に規定する鉱業権の設定の出願がなされた際には、同法第二十九条第一項に掲げる基準に適合するか否かを審査し、当該出願に係る許可を行っている。 五について お尋ねの「鉱山開発による近隣住民の健康や環境に与える悪影響」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、経済産業大臣として、鉱業法第二十一条第一項に規定する鉱業権の設定の出願に係る許可に当たっては、同法第二十四条に基づく関係都道府県知事との協議を行うとともに同法第二十六条に基づく設備設計書の提出を命ずることにより鉱害の防止のための調査を行っており、また、鉱業権者に対し、鉱業法施行規則(昭和二十六年通商産業省令第二号)第二十七条に基づき、同法第六十三条に規定する施業案において鉱害の防止のための施設に関する事項等を記載させるとともに、鉱業の実施に当たって、鉱山保安法(昭和二十四年法律第七十号)第八条に基づき、鉱害の防止のため必要な措置を講ずることを求めている。 六の1及び3について 御指摘の「利益の国外流出防止、環境保護、国内企業との競争、公平性の確保及び国内産業の保護といった観点」及びお尋ねの「国益にどのような影響を及ぼしているか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、鉱区税及び鉱産税を含め、地方税については、地方公共団体が行政サービスを行うために必要な経費を賄うために課されるものである。 その上で、鉱区税については、鉱業権者が地下の埋蔵鉱物を採掘する権利を与えられていることに着目し、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第百七十八条の規定により、鉱区に対し、面積を課税標準として、当該鉱区の所在する都道府県において、当該鉱区の鉱業権者に課することとされており、休眠鉱区の防止をも意図して課されるものである。また、鉱産税については、鉱物の掘採、運搬等の事業活動によって生じる道路橋梁(りょう)の損傷等に伴う行政経費を踏まえ、鉱山と当該鉱山の所在する市区町村の応益的な関係に着目し、同法第五百十九条の規定により、鉱物の掘採の事業に対し、当該鉱物の価格を課税標準として、当該事業の作業場の所在する市区町村において、当該事業を行う鉱業者に課することとされているものである。 六の2について お尋ねの「国際的な基準」の具体的に意味するところが明らかではないため、「適合しているか」とのお尋ねについてお答えすることは困難である。 |