質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第一号
  令和七年二月四日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員神谷宗幣君提出土地利用状況に関する報告を踏まえた安全保障と外国人土地取得規制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出土地利用状況に関する報告を踏まえた安全保障と外国人土地取得規制に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「千メートルとした根拠」については、令和三年六月八日の参議院内閣委員会において、政府参考人が「有識者会議の提言では、調査等の対象となる防衛関係施設等の周辺の範囲について、・・・予見可能性の確保や過度な負担防止の観点から、施設からの一定の距離で範囲を設定していくことが適当であるとされたところでございます。これを踏まえまして、重要施設の周辺区域については、その機能を阻害する行為が相当に懸念される範囲として、その敷地からおおむね一千メートルの区域を対象とすることとしたところでございます。」と答弁しているとおりである。まずは、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和三年法律第八十四号。以下「法」という。)第五条第一項に規定する重要施設の敷地の周囲おおむね千メートルの区域内等の区域で、法第六条に規定する土地等利用状況調査(以下「調査」という。)及び法第一条に規定する利用の規制を徹底していくことが肝要であると考えている。

二について

 前段のお尋ねについては、御指摘の「機能阻害行為の範囲が狭い」及びお尋ねの「どのような基準で決定されたか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「基本方針」において、「どのような行為が機能阻害行為となるのかという点について、一定の予見可能性を確保しておくことも重要」であることから、機能阻害行為を例示したものであり、また、「この類型に該当しない行為であっても、機能阻害行為として、勧告及び命令の対象となることはある。」としているところである。

 後段のお尋ねについては、御指摘の「基本方針」において、「通常、機能阻害行為に該当するとは考えられない」行為を例示しているが、いずれにせよ、機能阻害行為に該当するか否かについて、「個別具体的な事情に応じ、適切に判断する」こととしており、一概にお答えすることは困難である。

三及び八について

 法第五条第一項に規定する注視区域においては、現在、調査を適切に実施しているところであり、まずは土地及び建物(以下「土地等」という。)の所有及び利用状況の実態把握を着実に進めてまいりたい。その上で、法附則第二条において、「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とされていることを踏まえ、適切に検討してまいりたい。

四について

 お尋ねについては、個別具体的な事案によって異なることが想定されることから、一概にお答えすることは困難である。

五について

 法第二十三条において、「国は、注視区域内にある土地等であって、重要施設の施設機能又は国境離島等の離島機能を阻害する行為の用に供されることを防止するため国が適切な管理を行う必要があると認められるものについては、当該土地等の所有権又は地上権その他の使用及び収益を目的とする権利の買取りその他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」とされていることを踏まえ、適切に対応してまいりたい。

六について

 お尋ねの「追加的な対策を講ずる必要がある」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般に、「外国資本による土地取得」の規制については、例えば、令和二年十一月九日の第一回国土利用の実態把握等に関する有識者会議において、「外国資本等の定義は難しく、仮に、外国資本等だけを対象にすると、いわゆるダミー会社等を捕捉できないおそれもある」という意見が示されており、同年十二月二十四日に同会議で取りまとめられた「国土利用の実態把握等のための新たな法制度の在り方について 提言」においても「新しい立法措置を講ずる場合には、内外無差別の原則を前提とすべきである」とされているところ、これらの意見等も踏まえ、慎重に検討する必要があると考えている。

七について

 御指摘の「登記上は日本人・日本法人名義であっても、実際には外国人・外国系法人が出資して土地等を取得しているケース」及びお尋ねの「このような状況を調査する体制」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「重要施設周辺等における土地等の取得の状況(令和五年度)について」(令和六年十二月内閣府政策統括官(重要土地担当)公表)において、「国外に居住する外国人と思われる者」、「内国法人であって外国籍を有する者又は国外に居住する外国人と思われる者が代表者となっているもの」等による土地等の取得についても、調査を実施した上で、公表している。