第217回国会(常会)
質問第二四五号 薬剤師の業務規制及び医療職種の人員配置基準等の見直しに関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年六月二十日 浜田 聡
参議院議長 関口 昌一 殿 薬剤師の業務規制及び医療職種の人員配置基準等の見直しに関する質問主意書 調剤に従事する薬剤師に対する「処方箋一人一日四十枚規制」は「薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令」(昭和三十九年厚生省令第三号。以下「同省令」という。)第一条第一項第二号により、薬剤師の配置人数に関する計算基準として平成五年に制度化されている。また、処方箋受付回数が月二千回、四千回等を超える薬局に対しては、調剤基本料の減算措置が講じられている(以下「薬剤師業務に対する規制」という。)。 しかし、令和の時代を迎え、薬局におけるICT導入や業務分担、事務支援体制の整備等によって、薬剤師一人が担うことのできる業務の幅は広がり、業務の質は向上しており、現場からはこうした画一的な数値基準が現実に即しているのか疑問の声が多く寄せられている。また、処方箋受付回数による診療報酬上の減算措置についても、その政策的意図と実効性に関して検証が求められる時期にあると考える。 以上を踏まえ、以下質問する。 一 薬剤師に対する「処方箋一人一日四十枚規制」等について 1 同省令において、「薬剤師一人当たりの一日平均取扱処方箋数が四十を超えない」旨規定されているが、「四十」という数値基準が定められた経緯、根拠及び決定までに要した検討資料について全て示されたい。 2 同省令への違反が確認された場合に、保健所等による指導・是正命令・営業停止・保険指定取消し等の行政処分を行った事例はあるか示されたい。ある場合、それぞれの件数及び詳細について、全て示されたい。 3 薬剤師業務に対する規制は、薬剤師の業務の質・安全性を担保することを目的とするかあるいは診療報酬配分上の合理化手段であるか、立法趣旨及び保護法益も含めて、政府の見解を明確にされたい。 4 診療報酬制度においては、「処方箋受付回数が月二千回・四千回・六千回を超える薬局」に対して調剤基本料を減算する仕組みがあるが、当該減算の趣旨、保護法益及び法的根拠(通知・告示等)を明示されたい。 二 他の医療職種における人員配置・業務制限規定の体系的整理について 1 医師・看護師・歯科衛生士・診療放射線技師・理学療法士等の医療職種に関し、診療報酬上の施設基準、医療法・薬機法その他の法令、省令、通知等によって人員配置基準や一人当たりの業務量制限が明示的に定められている事例があれば、職種別に概要、根拠規定及び数値目安を全て示されたい。 2 前記二の1の規定について、①医療の質や患者安全の担保を目的とする規定、②診療報酬上の配点調整や医療機関の集約化を意図する政策的手段としての規定のいずれに該当するか示されたい。いずれにも該当しない場合、当該規定の目的を示されたい。 3 前記二の2について、それぞれの規定の目的がいずれの目的に該当するか、どのような基準で判断したか示されたい。 三 今後の医療効率化と制度規制の関係について 医療従事者不足が深刻化する中、AIやICTを活用した医療提供体制の効率化は喫緊の課題とされている。一方、現在の「一人当たりの業務量上限」等の各種規制が医療の効率化・省力化に対する制約となっているとの指摘もあるが、政府の見解を示されたい。また、今後の規制見直しの可能性について、政府の見解を示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |