第217回国会(常会)
質問第二三三号 オンライン精神療法の安全性及び指針違反事例への行政対応に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年六月十九日 水野 素子
参議院議長 関口 昌一 殿 オンライン精神療法の安全性及び指針違反事例への行政対応に関する質問主意書 精神疾患の増加や通院困難者の存在などを背景に、オンライン診療による精神療法(以下「オンライン精神療法」という。)が対面診療を補完する有効な手段として定着しつつある。他方で、制度運用の不備や一部の医療機関における不適切な診療実態により、安全性や規制の在り方について課題が指摘されている。 厚生労働省の調査によると、令和五年一月から三月の三か月間におけるオンライン診療に関する指針違反のおそれがある事例(以下「指針違反事例」という。)は千七百四十件であった。一方、令和五年三月末時点において、電話や情報通信機器を用いた診療を実施できるとして登録した医療機関数は一万八千百二十一機関であり、指針違反事例が制度全体にどの程度広がっているのか、その分布状況についての詳細は明らかにされていない。また、指針違反事例に対しては、都道府県や保健所による是正措置が講じられているが、その具体的な対応内容や改善効果について、現時点で体系的な数値が示されていないため、既存の制度運用によってどの程度安全性が担保されているか検証すべきである。さらに、厚生労働省が策定したオンライン診療の研修プログラム(以下「研修プログラム」という。)には、既に別途策定されている「情報通信機器を用いた精神療法に係る指針」の内容が明示的に反映されておらず、精神科診療に特有のリスクに即した教育内容が含まれていない現状にある。これは制度設計の整合性の観点からも課題と考えられる。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 前記令和五年一月から三月の指針違反事例のうち、オンライン精神療法に該当する件数を明らかにされたい。 二 前記一万八千百二十一の医療機関のうち、令和五年一月から三月に指針違反事例が確認された医療機関数を示されたい。また、そのうち精神科を標榜する医療機関数を明らかにされたい。 三 前記厚生労働省の調査以降の直近の調査における指針違反事例の件数(例:令和六年又は令和七年分)を明らかにされたい。また、これらの指針違反事例に対し、都道府県や保健所等が実施した是正措置(行政指導、研修指導、立入検査等)の件数、内容及びその後是正された割合(改善率など)について、政府の把握状況を示されたい。さらに、こうした是正措置体制が直近のデータにおいても十分に機能しているかについて、政府の見解を示されたい。 四 厚生労働省は、研修プログラムに精神療法に係る指針の内容を反映させる必要があると考えるが、検討状況、実施に向けた対応方針及び方針決定に至るまでの判断基準やプロセスについて明らかにされたい。 右質問する。 |