第217回国会(常会)
質問第二一四号 政府が行う推計と実績の乖離要因分析の必要性に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年六月十九日 浜田 聡
参議院議長 関口 昌一 殿 政府が行う推計と実績の乖離要因分析の必要性に関する質問主意書 内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省は二〇一八年五月に公表した「二〇四〇年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」において、団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年度における「社会保障給付費の見通し」(以下「当該推計」という。)を示した。当該推計中、経済:ベースラインケースかつ計画ベースの場合、医療給付費は①四十七・八兆円(GDP比七・四%)、②四十七・四兆円(同七・三%)、介護給付費は十五・三兆円(同二・四%)であった。しかし、二〇二四年度の社会保障給付費(予算ベース)では、医療給付費は四十二・八兆円(同六・九%)、介護給付費は十三・九兆円(同二・三%)にとどまり、当該推計との差はそれぞれ数兆円規模となっている。 当該推計は、消費税増税や各種保険料の引上げなど、国民に対する負担を正当化するための根拠として用いられてきたため、実績との差異がある場合、その妥当性や検証体制の在り方を見直す必要がある。以上を踏まえて、以下質問する。 一 当該推計と実績の乖離に関する事実確認について 1 当該推計(経済:ベースラインケース、計画ベース)と二〇二四年度の社会保障給付費(予算ベース)との金額及びGDP比における差異を明示されたい。 2 前記の差異が生じた主な要因(医療・介護単価の伸び率、診療報酬・介護報酬改定、人口構造の変化、受診行動の変化、制度改正等)について、政府の公式な分析結果は存在するか示されたい。存在する場合、当該概要を示されたい。存在しない場合、分析を行っていない理由を明らかにされたい。 二 推計と実績の乖離の検証に関する方針について 1 医療・介護給付費に限らず、当該推計と実際に計上された予算額や決算額との乖離について、体系的な検証・評価(レビュー)を行ったか示されたい。行った場合、当該概要を示されたい。行っていない場合、検証・評価を行っていない理由を明らかにされたい。 2 推計が政策の根拠となる以上、推計と実績の乖離を定期的に検証し、次回以降の推計精度の向上につなげる必要があると考えるが、政府として「推計と実績の乖離のレビュー制度」や「外部評価の導入」を制度化する方針があるか示されたい。 三 政策的前提の妥当性及び今後の対応について 1 前記のように、推計と実績との間に大幅な乖離が確認される場合、当該推計を基に導入・実施された政策(例:消費税率引上げ、子ども・子育て支援金制度、各種保険料の引上げ等)について、再評価や財政的再設計の必要性があると考えるが、政府の見解を示されたい。 2 今後の社会保障給付費に関する推計において、統一された前提条件の明示(医療・介護単価、制度改革の影響、経済成長率など)や、予測誤差の可能性も含めた不確実性の注記など、推計の信頼性・透明性を高める取組を行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |