質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第二一二号

営利法人に病院等の開設が認められない法的根拠に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年六月十九日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   営利法人に病院等の開設が認められない法的根拠に関する再質問主意書

 私が提出した「営利法人に病院等の開設が認められない法的根拠に関する質問主意書」(第二百十七回国会質問第八四号)に対する答弁書(内閣参質二一七第八四号)において、医療法第七条第七項の運用に関し、営利法人による医療機関の開設は、同項を根拠として実質的に認められていない旨の答弁がなされた。しかし、同条項は「営利を目的として、病院、診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては、第四項の規定にかかわらず、第一項の許可を与えないことができる」と規定しており、営利法人による開設を明文で禁止しているわけではないと解釈できる。それにもかかわらず、行政が通達や答弁により一律に営利法人を排除する方針を採っているとすれば、それは法文の趣旨を逸脱し、法治主義に反し、裁量権の濫用に当たるおそれがあると考える。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 解釈の整合性について

 1 医療法第七条第七項は、営利法人による病院、診療所又は助産所の開設を明示的に禁止していないにもかかわらず、政府が「実質的な禁止規定」として運用している理由を示されたい。法的根拠、昭和二十三年衆議院厚生委員会及び平成五年厚生省通知との関係性を具体的に説明されたい。

 2 同条項の文言について、営利法人であることのみをもって包括的に一律排除している現在の運用は、裁量権の逸脱又は放棄に当たると考えるが、政府の見解を示されたい。

 3 「許可をすることができない」等の記載ではなく、医療法第七条第七項のように「許可を与えないことができる」という記載により、実質的な禁止規定と解釈している他法令は存在するか示されたい。存在する場合、当該法令及び詳細を全て示されたい。

二 法治主義及び立法の在り方について

 1 営利法人による医療機関の開設を政府が禁止とするのであれば、国会による立法措置により法定化し明示的に規定すべきであり、行政通達や慣行によって事実上禁止とすることは法治主義の原則に反すると考えるが、政府の見解を示されたい。

 2 現在の行政解釈においては、営利法人による医療分野への新規参入が事実上封じられており、民間の技術革新や資本力をいかした新しい医療モデルの発展を妨げている可能性がある。医療の質を担保しつつ制度の柔軟性と開放性を確保する観点から、今後、行政解釈の見直しやルールの明文化を検討する考えがあるか示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。