第217回国会(常会)
質問第二〇九号 形骸化した定員合理化目標の見直しに関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年六月十九日 浜田 聡
参議院議長 関口 昌一 殿 形骸化した定員合理化目標の見直しに関する質問主意書 政府は、平成十六年の「行政機関の職員の定員に関する法律」改正を契機として、国家公務員の定員を計画的に合理化する方針を打ち出した。「毎年二%の定員合理化(五年十%)」(平成二十六年七月二十五日閣議決定)という数値目標を掲げて以降、同様の枠組みに基づく政策運用を継続している(なお、令和六年六月二十八日に「五年間で五%の定員合理化(年平均一%)」との目標に変更された。)。 しかし、実際に管理されているのは形式的な「定員(上限数)」に過ぎず、実際の配置人員である「実員」や非常勤等の非正規職員を含む実質的な人件費総額の把握・管理は行われていない。さらに、新規組織の設置に伴う定員加算などにより、国家公務員全体の人数・人件費が増加する事例が散見される。このような状況は、定員合理化目標の導入時に掲げられた目的である「簡素で効率的な政府」や「持続可能な財政運営」といった目標と著しく乖離している。これは、定員合理化目標そのものの実効性に対し重大な疑義を生じさせるものであり、形式的な数値目標によって実効性を欠く目標を漫然と継続するのではなく、実態に即した財政統治指標と制度的透明性を持った管理体制への抜本的改革が急務であると思料する。以上を踏まえて、我が国における人員・財政管理制度の形骸化に対し、財政責任と透明性の原則に基づいた再構築を図るため、以下質問する。 一 政府が掲げる定員合理化目標は、いかなる法的根拠及び政策目的に基づき、いつから導入されたものか示されたい。また、導入の背景及び当初の政策目的を明らかにされたい。 二 定員合理化目標導入以降の、国家公務員の実員数及び人件費総額について 1 平成十六年度から令和七年度までの各年度について、各府省庁の「定員数」、「実員数(充足数)」、「非正規職員数(非常勤・任期付・会計年度任用職員等)」、「国家公務員人件費総額」をそれぞれ示されたい。また、これらの総数(全府省合計)の推移を一覧で示されたい。 2 政府は「定員合理化目標」の実績評価や予算編成上の判断に前記二の1の統計を活用しているか示されたい。活用している場合、その活用方法について示されたい。 三 政府が掲げる定員合理化目標の達成状況と、実際の各府省庁の定員数総数について 1 政府がこれまで掲げた定員合理化目標及びその達成状況を示されたい。 2 前記三の1について、定員合理化目標を達成した年度において、前記二で示された実際の各府省庁の総定員数、総職員数、総人件費が増加していた実例はあるか示されたい。ある場合、その理由、定員合理化と総定員数の増加等との整合性について、政府の見解を示されたい。 四 各府省における定員合理化と並行して、定員合理化目標の導入後に新たに創設される組織(省庁、局、課等)のために新規定員が加算される場合、新規定員の加算が定員合理化目標と統合的に評価・管理されているか示されたい。管理されていない場合、定員合理化目標の実効性を政府はどのように担保しているのか示されたい。 五 定員という形式的な上限のみを管理対象とするのではなく、実際に採用して就業している職員数、国家公務員総人件費、人件費や業務の委託費等に対する対国内総生産(GDP)比など、より実質的かつ財政規律に即した定員合理化指標を導入すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。また、今後の目標の見直しに関する政府の方針を示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |