質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第二〇八号

大阪・関西万博の運営費収支及び成果指標に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年六月十九日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   大阪・関西万博の運営費収支及び成果指標に関する質問主意書

 経済産業省「大阪・関西万博経済波及効果再試算結果について」(令和六年三月)によると、令和七年四月に開幕した大阪・関西万博(以下「万博」という。)は、約二・九兆円の経済波及効果が見込まれている。しかし、万博に要する費用構造は極めて複雑である。参議院予算委員会調査室「大阪・関西万博における国の費用及び収支の動向」(令和七年六月九日現在、以下「当該資料」という。)によると、運営費の収支について「状況次第では新たな国の負担が発生する可能性も否定できない」としている。

 衆議院予算委員会第七分科会(令和七年二月二十七日)において、政府は国庫による負担や助成は行わない方針を示している。一方、朝日新聞(令和七年一月八日)は、運営費に赤字が生じた場合の対応について、吉村大阪府知事が「もしそうなれば(国、経済界、府・大阪市の)三者で協議する」と述べたと報じた。このように、実際には国費負担が完全に排除された状況にはないと思料する。

 当該資料は、万博の「準備等に直接資する事業に係る費用」における国の負担分を以下のように整理し、費用総額は最大で約千七百四十一億円と示している。

 ①博覧会協会の会場建設費

 ②日本政府館建設等のための費用

 ③途上国等出展支援等のための費用

 ④会場内の安全確保に万全を期するための費用

 ⑤全国的な機運醸成等に要する費用

 また、費用総額については、会場建設費を筆頭に現在執行中の予算もあるほか、運営費の収支が赤字となった場合の費用負担など負担主体が曖昧な項目が存在するため、費用総額の変動の余地が大きいと指摘されている。

 収支均衡に必要なチケット販売枚数については、衆議院経済産業委員会(令和六年十二月十八日)において、約千八百四十万枚と指摘されている。しかし、当該資料によれば、「開幕前の前売販売」実績は約九百七十万枚であった。その後の進捗状況についても注視が必要であると考える。さらに、万博における成果指標(KPI)の内容や進捗状況は、国民的関心事項であるにもかかわらず、現時点で政府から包括的な情報は示されていない。KPIは、万博の公共的意義や費用対効果を評価する上で不可欠な指標である以上、政府には積極的な情報公開と説明責任が求められる。

 以上を踏まえ、以下質問する。

一 費用総額について、現在進捗中の会場建設費を含め、費用項目ごとの現時点での追加的な支出見込額を明らかにされたい。また、依然として費用総額に変動の要素が大きいと考えるが、費用総額の変動状況について、具体的に示されたい。

二 運営費収支や費用総額のモニタリング結果及び収入を確保するための事業運営の進捗状況・取組状況について、国会に対して定期的に報告し情報を共有すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 万博運営費の収入確保は大阪府の責任と考えてよいか示されたい。

四 赤字補填が必要な状況となった場合、主体となって補填するのは国、経済界、大阪府・大阪市のうちいずれか示されたい。また、国が補填する場合の判断基準について、具体的に示されたい。

五 万博に対して国費を投入している以上、政府は国費投入に係るKPIを設定する必要があると考えるが、設定しているKPIを全て示されたい。また、現時点でのKPIの進捗状況について、達成見込みの水準を上回っているのか下回っているのか具体的な状況を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。