質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第二〇五号

報道機関のコンプライアンス強化の必要性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年六月十九日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   報道機関のコンプライアンス強化の必要性に関する質問主意書

 近時、村上総務大臣は、株式会社フジテレビジョン(以下「フジテレビ」という。)をめぐる一連の問題を契機に、テレビ局及び関連会社に対して新たなコンプライアンス・ガバナンス体制の整備を求める方針を表明した。林官房長官も記者会見において、フジテレビに対する政府系広告の出稿の在り方を再検討する旨述べている。

 これに関連し、公益通報者・ジャーナリストである峯岸一氏は、フジテレビ及び株式会社フジ・メディア・ホールディングス(以下「フジHD」という。)に関して、格闘技団体「RIZIN」代表(以下「代表」という。)を介した反社会的勢力への利益供与疑惑及びフジテレビ側の隠蔽疑惑に関する告発をしている。その内容は以下のとおりである。

 ○告発の具体的内容

 ・放映権料が反社会的勢力へ流れた疑い

 代表が、反社会的勢力から違法な金銭の借入れ(法定利息を超える金利)を行い、その返済に充てる形でフジテレビからの放映権料を還流させたとの疑惑がある。これは利益供与に該当する可能性がある。

 ・虚偽書類を用いた欺罔行為の疑い

 代表は反社会的勢力に「訂正文」及び「撤回文」という名目で虚偽の文書を作成させ、それを用いてフジテレビ側に「問題は解決済み」と誤信させ、RIZINの地上波放映の継続を実現し放映権料を得たとの疑惑がある。これは詐欺的行為に該当する可能性がある。

 ・フジテレビ側は疑惑を認識していた可能性

 峯岸氏は、代表及びフジテレビの双方に対して配達証明付き郵便で複数回にわたり告発書面を送付しており、フジテレビ側の上層部も本件を把握していたと考えられる。しかし、フジテレビは代理人弁護士を通じて「そのような事実は存在しない」と回答するのみで、第三者的な検証や調査を拒否した。

 以上の告発が真実であるならば、視聴者、スポンサー、株主等に対する欺罔行為であり、公共性の高い報道機関として到底看過できない事案であると考える。

 峯岸氏は、関係者の音声データ、書き起こし文書、要約書、関連書類一式を所有しており、関係省庁への提出準備を進めている。アクセスジャーナルのYouTube番組「深層追及」では、この内容が詳細に語られ、関連動画の再生回数は約五十万回となり、社会的関心を集めている。また、直接取材を行い、供述を得ており、単なる推測ではなく裏付けのある事実であると主張している。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 政府として、本件について提供された証拠を精査した上で、関係省庁(総務省・金融庁・警察庁・国税庁等)に以下の対応を指示する方針はあるか示されたい。

 1 総務省に対し、フジテレビに第三者委員会を設置させ、当該疑惑に関する調査を実施させること。

 2 金融庁に対し、フジHDの善管注意義務違反・ガバナンス不備の有無を調査させること。

 3 警察庁等に対し、本件が詐欺・利益供与等の違法行為に該当するかどうかについて捜査させること。

 4 国税庁に対し、高利貸付けや申告漏れによる脱税の可能性について調査させること。

二 テレビ局を始めとする報道機関が反社会的勢力と接触・共謀していた疑いがある場合、そのリスクをどのように認識しているか示されたい。また、報道機関に対しコンプライアンス体制の強化を求めることや行政指導をすることなどの方策を検討しているか示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。