第217回国会(常会)
質問第二〇二号 PFASのリスク評価過程における文書管理に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年六月十八日 川田 龍平
参議院議長 関口 昌一 殿 PFASのリスク評価過程における文書管理に関する質問主意書 環境省は、飲み水の水質管理においてPFOSとPFOAの合算値で五十ナノグラム・パー・リットル以下とする暫定目標値を定めている。その根拠とされる食品安全委員会の「食品健康影響評価(耐容一日摂取量)」の決定過程で開かれた非公開の打合せ(準備作業)について、令和七年三月二十四日の参議院環境委員会において、食品安全委員会は「(リスク評価の)手続をしっかりと進めていくためには準備作業が必要」と答弁している。 当該問題をめぐる七回の国会質疑の際、食品安全委員会は「行政文書として残っているものはすべて開示する」との意向を示し、同年六月十三日に対象文書の一部を開示した。しかし、実質的なリスク評価についての議論の記録は「廃棄済み」として開示されていないことから、以下質問する。 なお、六月十三日に開示された内容は以下五回の非公開会合の配付資料である。 「公開会議:第一回と第二回の間 四回分の非公開会合」 ○令和五年四月十九日(水) 九時三十分~十二時三十分 打合せ会(疫学) ○令和五年四月二十日(木) 九時三十分~十二時三十分 打合せ会(実験動物) ○令和五年四月二十一日(金) 十四時~十七時 打合せ会(体内動態) ○令和五年五月十九日(金) 十四時~十七時 打合せ会(ばく露) 「公開会議:第六回と第七回の間 一回分の非公開会合」 ○令和六年一月十五日(月) 十四時~十七時 打合せ会 一 開示文書について 1 開示された「議事次第」、「論文リスト」及び「委員コメント」は、それぞれ内閣府本府行政文書管理規則のいずれに該当するか、保存期間を含めて明らかにされたい。 2 「PFASワーキンググループ打合せ会」に関連して作成・取得した記録(前記「議事次第」、「論文リスト」及び「委員コメント」など)について、食品安全委員会事務局(以下「事務局」という。)はどのように保存・管理してきたか、共有パソコンのフォルダ名及び具体的な管理方法を明らかにされたい。 二 打合せの議事内容の記録について 1 「議事次第」はいずれも「PFASワーキンググループ打合せ会」と題され、リスク評価について長時間にわたって話し合われたことを裏付けている。打合せ会に関連して、「討議内容」以外に作成・取得された記録があるか示されたい。ある場合、記録の名称及び概要を示されたい。 2 前記二の1に関連して、「討議内容」以外の記録がある場合、廃棄されたと解して間違いないか示されたい。廃棄されている場合、当該時期及び理由を明らかにされたい。 3 国会質疑の答弁において、「討議内容」の記録について、「個人的メモ」又は「行政文書」と名称が統一されていなかったが、内閣府本府行政文書管理規則のいずれに該当するか、保存期間を含めて明らかにされたい。 4 「討議内容」の記録(文字起こし又は議事録など)の作成後、当該記録は出席した委員に共有されたか示されたい。 5 「討議内容」の記録(文字起こし又は議事録など)は作成後、廃棄されるまでの間、事務局内でどのように保存されていたか示されたい。また、共有パソコンのフォルダ名を明らかにされたい。 6 打合せ会における議論を基に、次に開かれる会議(第二回から第九回)に向けて、事務局が作成した各評価書案(ドラフト文書)について決裁文書は残されているか示されたい。また、当該文書は内閣府本府行政文書管理規則のいずれに該当するか、保存期間を含めて明らかにされたい。 7 中裕伸事務局長は「目的の資料に内容が反映された」ことをもって廃棄した旨の答弁をしているが、「目的の資料」について、資料の名称等を具体的に明らかにされたい。 8 評価書案作成に向けた「打合せ会」において、内閣府本府行政文書管理規則第十二条で規定される「政策立案や事務及び事業の実施の方針等に影響を及ぼす」やり取りが行われておらず、「文書を作成する」必要がある「打合せ等」に該当しない根拠を説明されたい。 9 前記に関連して、公開された会議だけでなく非公開の打合せについても「リスク評価に不可欠(姫野座長)」、「(リスク評価の)作業を進めてゆくには準備作業が必要(中事務局長)」とされるにもかかわらず、前者の議事録は保存期間「十年」、後者の「討議内容」の記録は「一年未満」である理由を説明されたい。 三 文献リストについて 文献リストに掲載されている各委員のコメントはリスク評価そのものであるため、文献が除外又は追加された理由に関わる可能性もある。リスク評価の内容及び委員名を全て黒塗りにしている理由を法的根拠とともに明らかにされたい。また、評価書案では、委員のコメント内容について一部を除き開示していることから、文献の評価についても同様に開示されたい。 四 資料一について 「PFAS担当分野」のエンドポイントごとの担当委員の名前を黒塗りにする理由を明らかにされたい。また、食品安全委員会は専門性に鑑みて委員を任命している上、公開した会議及び議事録においても担当委員は実名で発言している。さらに、食品安全委員会が委託したCERIでの論文選定事業においても担当分野は明示されていることから、エンドポイントごとの担当委員名を公開されたい。 五 その他の記録について 1 非公開会合に関するその他の記録を速やかに開示されたい。また、開示の時期を明らかにされたい。 2 前記三及び四で求めたように、非開示(黒塗り)部分を開示することについて再考されたい。 右質問する。 |