第217回国会(常会)
質問第二〇一号 海外先住民の遺骨返還に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年六月十八日 紙智 子
参議院議長 関口 昌一 殿 海外先住民の遺骨返還に関する質問主意書 毎日新聞は令和七年六月十二日、「海外先住民の遺骨返還」とのタイトルで「東京大と京都大、国立科学博物館(科博)は十一日、学術研究の目的で収集・保管してきたオーストラリア先住民の遺骨十体を豪側に返還した。昨年十一月には東大が米ハワイの先住民遺骨十体を返還していたことも新たに判明。日本の教育研究機関から海外への初の返還例とみられる。」と報道した。また、東京新聞は同年六月十四日、「豪先住民遺骨を初返還」とのタイトルで「オーストラリア政府は十二日、日本の研究機関が保管していた先住民の遺骨十体が先住民と政府に返還されたと発表した。」と報道した。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 日本の先住民であるアイヌ民族の遺骨返還については、手続を定めた行政文書「大学の保管するアイヌ遺骨等の出土地域への返還手続に関するガイドライン」がある。海外先住民の遺骨返還について、手続を定めた行政文書はあるか明らかにされたい。 二 オーストラリアや米ハワイの先住民の遺骨を返還するに至った経緯について 1 政府が各研究機関に対して遺骨返還の要請を行った場合、要請日、要請機関及び当該要請の具体的内容を示されたい。 2 要請を受けた各研究機関が返還するに至った判断基準について、政府の把握状況を示されたい。 3 返還先と合意文書を交わした場合、当該内容を明らかにされたい。 4 返還した先住民族名及び遺骨数を明らかにされたい。 三 海外先住民の遺骨返還は、どのような国際約束に基づくものか示されたい。 四 海外先住民の遺骨が日本に持ち込まれた経過を明らかにすることは、日本においてアイヌ民族の遺骨が持ち去られた経過を究明する上で重要だと考える。先住民の立場に立った権利回復が必要だと考えるが、政府の見解を示されたい。 五 日本から持ち出されたアイヌ民族の遺骨数を国別に明らかにされたい。 右質問する。 |