第217回国会(常会)
質問第一九二号 観光公害対策に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年六月十七日 齊藤 健一郎
参議院議長 関口 昌一 殿 観光公害対策に関する質問主意書 二〇二四年の訪日外国人旅行者数は約三千七百万人、訪日外国人旅行消費額は約八・一兆円であり、いずれも過去最高を記録した。二〇二五年一月から三月の累計訪日外国人旅行者数は一千万人を超え、前年のペースを上回る勢いである。観光は成長産業であるため、持続的に発展できる環境づくりが急務であると考える。政府は「第五次観光立国推進基本計画」を二〇二五年度末までに策定し、二〇三〇年に訪日外国人旅行者数を六千万人、訪日外国人旅行消費額を十五兆円とする目標を掲げている。 しかし、訪日外国人旅行者を原因とした問題が全国各地で生じている。京都市では、訪日外国人旅行者の過度な集中が原因で市内を走るバス等の公共交通が混雑している。住民が乗車できない状況を改善するため、京都駅と清水寺や銀閣寺を結ぶ観光特急バスの土日祝日の運行が開始された。富士山では、弾丸登山や混雑を避けるために入山規制時間を設け、環境整備・安全対策のために通行料・入山料を徴収している。その他、SNSの投稿を契機に、特定の地域に旅行者が押し寄せる例もある。無断立入り、ゴミの放置、マナー問題など、住民の生活に悪影響が及ぶ観光公害(オーバーツーリズム)が深刻な地域もあることから、対策を本格化させるべきと考える。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 観光庁は、地域で自由に放映できる訪日外国人旅行者向けマナー啓発動画を作成して、活用を推進しているが、当該啓発動画の活用状況及び効果を示されたい。 二 政府は、訪日外国人旅行者の増加に伴う観光公害について、積極的に地方自治体に寄り添い、対策を支援すべきと考える。しかし、過度な規制が訪日外国人旅行者の減少につながらないよう、慎重な対応も求められると考える。以上を踏まえて、現在講じている若しくは今後講ずる予定の観光公害対策について、政府の見解を示されたい。 三 スマホの位置情報を活用し、地域特有のマナーを自動で案内するアプリの提供を推進すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 四 自然保護区や歴史的建造物におけるマナー違反に対して、罰金や罰則を導入すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 右質問する。 |