第217回国会(常会)
質問第一九○号 ミャンマー国軍総司令官が実施を公言する総選挙に係る日本政府の態度に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年六月十三日 石橋 通宏
参議院議長 関口 昌一 殿 ミャンマー国軍総司令官が実施を公言する総選挙に係る日本政府の態度に関する質問主意書 ミャンマーでは、二〇二一年二月一日の国軍による軍事クーデター発生以降、同クーデター及び軍政支配に対し、圧倒的多数の国民が反対・抵抗の声を挙げ続けている。国軍の武力・暴力の行使により既に多くの国民が命や自由を奪われ、三百五十万人以上の国民が故郷を追われて国内避難民となっているほか、千三百二十万人以上(国民の四人に一人)が貧困・飢餓状態に陥っているとも言われている。 こうした中、暴力による支配を続ける国軍のミンアウンライン総司令官は二〇二五年十二月若しくは二〇二六年一月に総選挙を実施すると公言した。現状、国軍が支配下においている地域は全土の半分以下、三割程度にすぎないとも言われており、到底、公正・公平な選挙を行える状況にないと考える。このような状況下における総選挙の強行は、ミャンマー国内情勢の混乱を更に増幅させる結果につながると容易に想定され、日本に在留するミャンマー人も大いに不安を感じているところである。 以上の極めて深刻なミャンマー情勢を踏まえて、以下質問する。 一 総司令官が実施を公言している二〇二五年十二月又は二〇二六年一月の総選挙について、日本政府としては断固、実施に反対すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 二 総司令官が総選挙を強行した場合、日本政府は決してその正当性を認めてはならず、その結果として樹立される可能性のある「政府」を決して容認してはならないと考えるが、政府も同様の見解であるいう理解でよいか示されたい。 三 総司令官は、二〇二〇年十一月に実施された総選挙に不正があったという理由で二〇二一年二月一日の軍事クーデターを実行したと言われている。当該総選挙について、軍事クーデターを正当化するような不正があったと判断しているか、政府の見解を示されたい。 四 在日ミャンマー人コミュニティの中では、総司令官が総選挙を強行した場合、総司令官と極めて近い関係にあり、かつ、日本政府が任命したミャンマー国民和解担当日本政府代表である笹川陽平日本財団会長らが総選挙の実施に協力し、日本政府が当該行為を黙認・追認することで、日本政府が事実上、総選挙の強行及び選挙結果を承認しその結果として樹立された「政府」を支援することとなると危惧されている。 日本政府は決してそのような立場を取らないと断言するか、見解を示されたい。また、笹川氏が国軍主導の総選挙を支援する場合、ミャンマー国民和解担当日本政府代表を解任すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 五 現状では、総司令官が公言どおり総選挙を強行する可能性は高いと考えられるが、その結果として樹立された「政府」を中国やロシアなど一部の国が承認した場合、日本政府はどのような態度で臨むのか説明されたい。 右質問する。 |