第217回国会(常会)
質問第一八八号 災害の予言報道による観光業への影響及び政府の対策に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年六月十三日 浜田 聡
参議院議長 関口 昌一 殿 災害の予言報道による観光業への影響及び政府の対策に関する質問主意書 漫画「私が見た未来」(たつき諒・一九九九年)は、二○一一年三月の大災害を予言しており、東日本大震災を的中させたとして話題となった。その後、新たな要素を加え出版された「私が見た未来 完全版」(二〇二一年)では、二○二五年七月の大災害(地震、津波、隕石衝突等)を予言している(以下「二○二五年予言」という。)。 二○二五年予言については、テレビ番組や新聞等で大々的に報道された。NHKは二〇二五年四月二十六日、香港や台湾における日本旅行のキャンセルや香港のグレーター・ベイ航空の仙台便・徳島便減便を報じた。毎日新聞は同年五月十五日、科学的根拠のない予言がインターネットやSNSで拡散し、不安が増幅していると指摘した。CNNは同年五月二十日、香港における日本旅行の予約半減や東南アジアでの影響を報じ、読売新聞は同年六月二日、フェイクニュースとしての問題を強調している。 東日本大震災的中による同書の注目度が二○二五年予言への関心を高めるとともに、報道が観光業の低迷を招き国民の不安を煽ることで、社会的混乱が生じている。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 報道による予言への影響 「私が見た未来」が二○一一年三月の東日本大震災を的中させたとする報道が二○二五年予言への信頼感を高め、観光業低迷や国民の不安増幅に及ぼした影響について、政府はどのように認識しているか示されたい。訪日客減少、航空便減便、SNSでのパニック、備蓄品の過剰購入等の具体的な影響に関して、政府の把握状況を示されたい。 二 科学的根拠の欠如への対応 毎日新聞が指摘するとおり、二○二五年予言は科学的根拠を欠いており、気象庁も日時や場所を特定した地震予知は不可能と表明している。東日本大震災的中による話題性が二〇二五年予言の信憑性を過剰に高め、メディアが科学的検証を十分に行わないまま報道した結果、不安や混乱が拡大した。メディアの中でも特に影響力の大きな各テレビ局に対し科学的根拠に基づく報道を促すため、政府はどのような指針を有しており、また、どのような働きかけを行う予定か示されたい。 三 観光業への影響と対策 香港の大手航空会社の減便に関する報道や、香港からの旅行予約が半減したとの報道を受け、訪日観光需要が低下した可能性がある。東日本大震災的中を背景とする二〇二五年予言の影響力を踏まえ、政府は観光業への経済的影響を軽減し、海外に向けた日本旅行の安全性の発信等の観光振興策をどのように講ずるか示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |