質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第一八六号

武雄アジア大学の設置認可に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年六月十三日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   武雄アジア大学の設置認可に関する質問主意書

 学校法人旭学園は、佐賀県武雄市における「武雄アジア大学(仮称)」の設置認可を文部科学省に申請したと承知している。しかし、同大学の設置計画には、財政的負担の不透明さや地域住民への説明不足、さらには、武雄市の行政運営における一連の不適切な判断が背景にあり、設置認可の妥当性について、重大な懸念が存在する。

 文部科学省は大学設置認可の審査において、教育の質の確保、地域社会との連携、財政的持続可能性等を厳格に評価する必要がある。以下に示す事実及び懸念に基づき、武雄アジア大学の設置認可を行うべきではないと考える。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 財政負担及び地域住民への影響について

 武雄市は令和七年五月、耐震補強工事による長寿命化を計画していた市文化会館大ホールについて、物価高騰等による事業費の上振れを理由に計画を廃止し解体する方針を決定した。当該方針転換は財政難を理由とするものであるにもかかわらず、武雄市は武雄アジア大学の誘致に際し、十三億円の税金を投入し、市有地を一定期間無償提供する計画を進めている。市民生活に直結する文化施設の廃止と引換えに、大学誘致が優先された形であると考える。このような財政的優先順位の決定は、地域住民の理解を得ることができておらず、むしろ反発を招いている。こうした地域住民への影響や財政的負担の妥当性について、文部科学省の評価を示されたい。

二 大学設置認可基準及び説明責任について

 武雄アジア大学の設置計画については、事前のパブリックコメントや市民への説明が十分に行われていないとの指摘がある。行政の透明性や説明責任が欠如していると考えるが、文部科学省の大学設置認可基準において、地域住民との合意形成や行政の透明性はどのように考慮されるのか示されたい。また、こうした状況下における設置認可申請について、どのように審査を行う予定であるか示されたい。

三 教育の質及び大学の持続可能性について

 学校法人旭学園は小規模な学校法人であり、財政基盤や運営実績に不安があると指摘されている。佐賀県内には現在、四年制大学が二校のみと少なく、大学の設置が地域活性化に寄与する可能性がある一方で、過度な財政負担や運営の持続可能性が確保されない場合、地域に更なる混乱をもたらすリスクがある。文部科学省は武雄アジア大学の教育の質や長期的な運営の持続可能性について、どのような基準で審査を行う予定であるか示されたい。また、財政基盤が脆弱な学校法人による大学設置が地域に与えるリスクをどのように評価する方針であるか示されたい。

四 行政の姿勢及び市民軽視の懸念について

 大学設置計画に係る武雄市の判断には、「市民は難しいことはわからない」、「市民は黙って従うだろう」とする行政の姿勢が背景にあるとの指摘がある。こうした姿勢は、市民との信頼関係を損なうものである。特に、大学設置のような大規模な事業においては慎重な対応が求められる。文部科学省は設置認可の審査において、設置先の地方自治体の行政姿勢や市民との関係性をどのように評価する予定であるか示されたい。また、事前のパブリックコメントや市民への説明を十分に行わないまま進められた大学設置計画に対し、認可を与えることの妥当性について、政府の見解を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。