質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第一八五号

医療費適正化計画における数値目標及び効果検証の妥当性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年六月十三日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   医療費適正化計画における数値目標及び効果検証の妥当性に関する質問主意書

 政府は、「第四期医療費適正化計画」において、後発医薬品(ジェネリック)及びバイオ後続品の使用促進、特定健診・特定保健指導の実施率向上などを重要な柱として掲げ、医療費の適正化と健康寿命の延伸を図るとしている。しかし、これらの施策について、数値目標の設定根拠が曖昧であること、実施状況と目標との乖離が大きいこと、政策効果の検証手法に課題があることなどの問題点が、複数の関係者から指摘されている。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 後発医薬品及びバイオ後続品の使用促進に関する目標と課題について

 1 第四期医療費適正化計画における後発医薬品の使用促進目標が、医療費を基にした金額シェアではなく数量シェアで設定されている理由を示されたい。また、後発医薬品の使用割合について、数量シェアは二〇二三年度時点で約八十%であり、金額シェアは約五十六%である現状を踏まえ、金額シェアがこれまで目標指標として採用されなかった理由を示されたい。

 2 前記一の1に関し、金額シェアが伸び悩んでいる要因である高薬価ジェネリックの普及状況、先発薬との価格差、調剤報酬制度の構造等について、政府としてどのように分析し、評価を行っているか示されたい。

 3 今後、医療費適正化の効果を可視化する上で、「数量」ではなく「金額」を基準とした使用割合や実際の医療費削減額を目標又は成果指標として使用する必要性があると考えるが、政府の見解を示されたい。

 4 バイオ後続品の使用促進に関して、品目によって置き換えの進捗に大きな差が生じている。その要因である医師・患者の受容性、製品供給体制、保険上の経済的誘因等について、政府は分析しているか示されたい。また、置き換えの進捗の差を是正するための政府の対応方針を示されたい。

二 特定健診・特定保健指導の実施と効果検証について

 1 特定健診・特定保健指導については、制度創設から十五年以上が経過しているにもかかわらず、政府が目標設定した実施率が全く達成されていない状況にある。この点について、政府は現状をどのように認識し、何らかの改善措置・目標の見直し等を検討しているか示されたい。

 2 特定保健指導の目標である「腹囲二センチメートル減」、「体重二キログラム減」などを達成することは、どのような医学的・疫学的成果(生活習慣病予防、医療費削減等)と具体的に結びついているのか、また、その効果が科学的にどの程度立証されているか示されたい。

 3 特定保健指導による医療費適正化効果が約六千円との実証研究(二〇一三年度受診者・二〇一九年度医療費ベース)に関して、当該成果の費用対効果の評価(健診費用・人件費・行政経費等を含むコストとの比較)、ネットベネフィット分析がなされているかを明らかにされたい。

 4 前記実証研究について、エビデンスの水準(ランダム化比較試験(RCT)の有無、傾向スコアマッチング等の交絡調整の有無)、研究方法の妥当性、査読の有無、学術誌での公開状況等、客観的な信頼性の評価に関する政府の見解を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。