第217回国会(常会)
質問第一八三号 誇大広告による実績に基づく審議会等の委員の任命に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年六月十二日 浜田 聡
参議院議長 関口 昌一 殿 誇大広告による実績に基づく審議会等の委員の任命に関する質問主意書 平成十一年四月二十七日に閣議決定された「審議会等の整理合理化に関する基本的計画」の「審議会等の運営に関する指針」(以下「審議会指針」という。)では、委員の任命に当たって「委員により代表される意見、学識、経験等が公正かつ均衡のとれた構成になるよう留意する」と規定されている。また、利害関係者の意見聴取等について、「他の関係者の利益との公正な均衡の保持に留意する」と規定されている。 認定NPO法人フローレンス創業者の駒崎弘樹氏は、平成二十二年から政策委員として、主に子ども・子育て支援行政に係る政策に関わっている。平成二十二年当時、同法人の主な実績は、同法人が主張する「日本初の訪問型病児保育」であった。しかし、複数の同業他社において、同法人よりも十年以上前から訪問型病児保育の実績がある旨が指摘されており、令和六年六月二日、朝日新聞社は「日本初の非施設型の病児保育サービス」を「日本初の共済型・非施設型の病児保育サービス」に訂正した。 同法人は当該サービスについて、一部において「日本初の共済型・訪問型病児保育」と言い換えを行っているが、当該サービスは利用の有無にかかわらず定額の料金を徴収するものであり、同業他社との相違は料金体系のみであるため、新規性が高いとは言えない。また、利用しない場合でもあっても料金が発生する点において、利便性及び公益性が優れているとも評価できない。同業他社に、同様の料金体系が普及しておらず、「共済型・訪問型病児保育」という用語は、同法人以外での用例が皆無に等しい。そのため、「共済型・訪問型病児保育」という用語は「日本初」と喧伝するために作り出された造語であり、「日本初の訪問型病児保育」と喧伝していたことは、不当景品類及び不当表示防止法第五条で禁止される誇大広告であるとの指摘がある。 駒崎氏は、平成二十五年十二月六日、読売新聞社に対して、社会企業の方法を寄稿しており、タイトルに「「世界初」「日本初」、はたまた「関東初」」等の文言を入れ新規性を徹底的に強調することで、注目を集めることを奨励している。また、令和元年七月十九日、東洋経済新聞の取材に対して、平成十七年に事業を開始し、間もなくして訪問型病児保育の視察に「厚生労働省の方が視察に来られ二時間ほどヒアリングを受けた」と語っている。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 政府の審議会等の有識者は、学識経験並びに実績等を総合的に勘案して任命すると思料するが、開業から僅か六年ほどの実績しか有さない同法人の代表者を政府委員に任命したのは「日本初の訪問型病児保育」という誇大広告に基づいた実績を評価したことが理由か示されたい。 二 審議会指針に規定される、「他の関係者の利益との公正な均衡の保持に留意する」ため、運営実績がある同業社及び団体で構成される組合ないし協会の関係者等を任命することが一般的と思料するが、平成二十二年当時、単独法人の代表者を任命した理由を示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |