質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第一六七号

障害者支援の制度的空白に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年六月十日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   障害者支援の制度的空白に関する質問主意書

 障害者の支援のため、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(以下「障害者総合支援法」という。)に基づく「補装具費支給」制度が存在する。一方、介護保険制度上、要支援者等の支援のため「福祉用具貸与」制度が存在する。「「補装具費支給事務取扱指針について」の一部改正について」(障発〇三二九第三七号、こ支障第一〇三号、令和六年三月二十九日)では、障害者であって要支援等に該当する者が、「福祉用具と共通する補装具を希望する場合」、「介護保険による福祉用具の貸与が優先されるため、原則として(中略)補装具費の支給をしない」こととされている。

 しかし、要支援認定を受けた障害者が電動車いすを希望する場合、介護保険制度上の福祉用具としての貸与が認められず、さらに、障害者総合支援法でも補装具費の支給が拒否されるという「制度的空白」に陥る事案が報告されている。このような「制度的空白」は障害者の支援を制約するものであるとともに、障害者基本法に基づく合理的配慮の欠如に当たるとも指摘されている。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 福祉用具と共通する補装具を希望する場合、原則として介護保険による福祉用具の貸与が優先される理由を明らかにされたい。

二 要支援認定を受けた障害者が前記両制度のいずれからも公的支援を受けられない事案について、政府はこの制度的空白をどのように認識しているか示されたい。

三 前記のような制度運用は障害者基本法に基づく合理的配慮の欠如に当たるのではないか、政府の見解を示されたい。

四 補装具や福祉用具について、利用者の個別の事情に応じて、貸与か購入かを本人が選べる柔軟な制度運用とする考えはあるか示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。