質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第一六五号

公用車のカーナビに係るNHK受信契約の在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年六月十日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   公用車のカーナビに係るNHK受信契約の在り方に関する質問主意書

 令和七年三月以降、全国の自治体において、公用車に搭載されたテレビ放送の受信が可能なカーナビに係るNHK受信契約の未締結及びNHK受信料の未払が相次いで発覚している。以下は、報道日順に並べた主な事例である。

  ・令和七年二月 愛媛県所有の公用車九十三台について、テレビの放送受信機能付きのカーナビが搭載されていたにもかかわらず、NHKと受信契約を結んでいなかった。未払期間は最長で十五年に及び、未払額の合計は約八百十二万円に上る。

  ・令和七年四月 静岡県富士宮市の公用車四十二台及びワンセグ機能付き携帯電話八台の計五十件について、NHKと受信契約を結んでいなかった。未払期間は最長十四年に及ぶ。

  ・令和七年四月 愛知県新城市の公用車や消防車計六十六台について、NHKと受信契約を結んでいなかった。未払期間は最長十九年、総額は約千二百二十万円に上る。豊川市では、詳細は不明であるものの同様の未払があり、その額は約四百十二万円に上る。

  ・令和七年五月 新潟県村上市の消防車、スクールバス、給水車など四十二台について、NHKと受信契約を結んでいなかった。未払期間は最長で二十年に及ぶ。

  ・令和七年五月 愛知県高浜市や福井県内の複数自治体でNHKと受信契約を結んでいなかった車両が多数確認された。あわら市は五台、鯖江市は十三台、越前市及び越前町は各十台、嶺北消防組合は十八台、鯖江・丹生消防組合は二十一台、鯖江広域衛生施設組合は三台、南越前町は三台について、NHKと受信契約を結んでいなかった。

 これらの問題は、一見するとNHKとの受信契約を結んでいなかった各自治体に責任があると捉えられる。しかし、そもそも公用車に搭載されたカーナビはテレビ放送の視聴を目的としておらず、購入した公用車のカーナビにテレビ放送の受信機能が搭載されていただけである。すなわち、当該公用車は、放送法第六十四条第一項のただし書「ただし、特定受信設備を住居に設置した場合において当該住居に設置された他の特定受信設備について当該住居及び生計を共にする他の者がこの項本文の規定により受信契約を締結しているとき、その他この項本文の規定による受信契約の締結をする必要がない場合として認可契約条項で定める場合は、この限りでない。」の第一号「放送の受信を目的としない受信設備」に該当すると解釈しても何ら不思議はないと考える。国民の意見としては、NHK受信契約を未締結であった自治体への非難の声よりも、放送を見る目的で設置されていないカーナビに係るNHK受信料を徴収することに対する批判の声の方が明らかに多い。NHKに対して無駄に税金が支払われている等の指摘がSNS上でも相当数見られる。以上を踏まえ、以下質問する。

一 国及び地方自治体が保有する公用車の台数を示されたい。そのうち、搭載されたカーナビでテレビ放送を視聴することが想定されている公用車の台数を示されたい。

二 搭載されたカーナビでテレビ放送を視聴することが想定されていない公用車としては、どのような公用車があるか示されたい。

三 日本放送協会放送受信料免除基準(以下「NHKの免除基準」という。)について

 1 NHKの免除基準によると、社会福祉施設等や学校はNHK受信料が免除されている。免除されている理由を示されたい。

 2 前記三の1について、社会福祉施設等や学校には免除が適用され、人命救助などに活用される緊急車両には免除が適用されない理由を示されたい。

 3 前記三の1について、社会福祉施設等や学校には免除が適用され、テレビ放送の視聴をする想定になく、かつ公務に使用される公用車には免除が適用されない理由を示されたい。

 4 NHKの免除基準に緊急車両ないしテレビ放送の視聴を目的としない公用車について、免除の対象とするべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 放送法第六十四条第一項のただし書について

 1 放送法第六十四条第一項のただし書のうち、第一号「放送の受信を目的としない受信設備」について、該当するものを全て示されたい。

 2 前記四の1について、人命救助などに活用され、テレビ放送を受信する目的とされていない緊急車両のカーナビは該当しないのか示されたい。該当しない場合、その合理的な根拠を示されたい。

 3 前記四の1について、公務のために購入され、テレビ放送の受信を目的としていない公用車のカーナビは該当しないのか示されたい。該当しない場合、その合理的な根拠を示されたい。

 4 放送法第六十四条第一項のただし書のうち、第一号「放送の受信を目的としない受信設備」に前記四の2及び3が該当しないとする場合、当該方針を見直す考えはあるか示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。