質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第一六二号

中国による「琉球帰属未定論」の提起及び政府の調査・対応状況に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年六月九日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   中国による「琉球帰属未定論」の提起及び政府の調査・対応状況に関する質問主意書

 公安調査庁が平成二十九年一月に公表した「内外情勢の回顧と展望」(以下「当該報告書」という。)において、「人民日報系紙「環球時報」(八月十二日付け)は、「琉球の帰属は未定、琉球を沖縄と呼んではならない」と題する論文を掲載し」、いわゆる「琉球帰属未定論」を提起したと記載されている。当該報告書では、「「琉球帰属未定論」に関心を持つ中国の大学やシンクタンクが中心となって、「琉球独立」を標ぼうする我が国の団体関係者などとの間で学術交流を進め」ているとし、沖縄における世論形成や日本国内の分断を意図した戦略的行動の可能性がある旨分析している。

 このような中国の情報戦とも言うべき活動については、沖縄の安全保障や領土主権に直接関わる重大な問題であり、国会において現時点での政府の認識及び対応を明らかにする必要がある。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 当該報告書に記載されている、「環球時報」において「琉球帰属未定論」に関する論文が掲載されて以降、中国側が同様の主張を繰り返している事例があるか示されたい。事例がある場合、その件数及び主な内容について示されたい。

二 「琉球帰属未定論」に関心を持つ中国の大学やシンクタンクと「琉球独立」を掲げる日本国内の団体との間で確認されている学術交流の現状について、政府の把握状況を示されたい。具体的な団体名や活動内容について、可能な範囲で明らかにされたい。

三 中国による「琉球帰属未定論」の国際的浸透を未然に防ぐため、政府が行ってきた対外発信(情報発信、外交的反論、国際世論形成等)について示されたい。特に、国際会議・報道・SNSを通じた対応の有無を含めて示されたい。

四 政府は沖縄県における外国政府等の影響工作に関して、現在も国家安全保障上の観点から、調査や対応を継続しているか示されたい。継続している場合、その所管官庁(例:内閣府、外務省、公安調査庁、内閣情報調査室など)ごとに、現在講じている施策の概要を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。