質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第一六一号

法務局人権擁護部の人権感覚及び市民への「啓発」と称する介入行為の実態に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年六月九日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   法務局人権擁護部の人権感覚及び市民への「啓発」と称する介入行為の実態に関する質問主意書

 近時、法務局人権擁護部職員が、インターネット上の表現や個人の意見に対し、行政機関としての立場で「啓発」又は「指導」に該当する電話照会等を行っているとの報告が、SNS上で複数寄せられている。これに対し、「啓発すべきはまず法務省職員自身の人権感覚だ」、「行政が民間人の思想・言論を問うこと自体が憲法上の問題をはらむのではないか」との指摘もある。

 このような介入は人権擁護の枠を超えており、国家機関による思想調査又は言論への萎縮効果をもたらす「行政的威圧」となっている疑念は払拭できない。以上を踏まえて、以下質問する。

一 法務局人権擁護部の「啓発」業務の範囲について

 1 法務局人権擁護部が市民に対して、「啓発」と称し電話又は文書によって意見を求めたり、見解を確認したりする行為の法的根拠を示されたい。

 2 「啓発」と称する行為の中に、事実上の「思想照会」や「表現内容の自粛要請」と誤解されかねない事例があるとの指摘について、政府の見解を示されたい。

二 人権擁護行政における職員教育の実態について

 1 啓発を担当する法務省・法務局職員に対して、「憲法第二十一条(表現の自由)」、「憲法第十九条(思想信条の自由)」及び「行政による萎縮効果の抑制」等の観点からどのような研修が行われているか示されたい。

 2 SNS利用者から「啓発すべきはまず法務省職員自身の人権感覚だ」と指摘されている事態を踏まえ、法務省として職員研修の在り方を見直す考えはあるか示されたい。

三 市民との対応の記録・透明性について

 1 法務局人権擁護部が市民に電話した際、その会話内容は記録(録音・要約記録)されているか示されたい。

 2 電話照会の対象者の選定基準を示されたい。特定の思想傾向・政治的立場を持つ投稿者を恣意的に対象としているとの疑念が生じかねないことを踏まえ、選定基準の公開を検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。