第217回国会(常会)
質問第一四五号 児童虐待疑惑や親権問題を取り上げた動画チャンネルに係る政府の対応に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年六月四日 浜田 聡
参議院議長 関口 昌一 殿 児童虐待疑惑や親権問題を取り上げた動画チャンネルに係る政府の対応に関する質問主意書 近年、インターネットやソーシャルメディアを通じて、児童虐待や親権問題に関する深刻な事案が広く国民の関心を集めている。特に、YouTubeチャンネル「街録ch~あなたの人生、教えて下さい~」において、二○二五年五月に公開された動画(以下「当該動画」という。)では、五歳の男児(以下「当該児童」という。)が実父及びその後妻から虐待を受けている可能性があるとして、祖母がその保護を訴えている。当該動画は、当該児童が「首を絞められる」、「喉に指を突っ込まれる」などの虐待を受けた可能性があること、父親が親権を主張し裁判所がこれを認めたこと、さらに、父親による弁護士への脅迫や証言妨害の疑いがあること等を祖母の主張を基に伝えている。 当該動画は多くの視聴者の注目を集めており、X上では「#ひなた君を守りたい」と題した署名活動が展開され、二○二五年五月末時点で約十三万筆以上の賛同が集まるなど、国民の関心が極めて高い。また、児童虐待や親権問題に対する司法の対応に疑問を呈する声も多く、国民の間に不安と不信が広がっている。 児童の安全と福祉は国家の最優先課題の一つであり、特に虐待の疑いがある場合には、迅速かつ適切な調査と対応が求められる。政府として、当該動画で提起された児童虐待疑惑及び親権問題について、事実関係を調査し、児童の保護及び司法の透明性確保に向けた対応を行う必要があると考える。 以上を踏まえ、以下質問する。 一 当該動画の内容に関する事実確認 当該動画で提起された当該児童に対する虐待疑惑(実父及び後妻による身体的・心理的虐待の可能性)について、政府又は関係機関(こども家庭庁、児童相談所、警察等)は事実関係の調査を行っているか示されたい。調査を行っていない場合、その理由を示されたい。 二 親権判断の妥当性と透明性 当該動画によれば、裁判所が当該児童の親権を実父に認めたとされているが、虐待疑惑が提起されているにもかかわらず親権が認められた経緯について、政府はどのように認識しているか示されたい。また、親権判断における児童の安全確保のための基準やプロセスについて、現在の制度は十分に機能していると考えるか示されたい。 三 児童虐待防止のための政府の取組 児童虐待の防止及び早期発見のため、こども家庭庁や児童相談所は具体的にどのような対策を講じているか。特に、親権をめぐる紛争において、虐待の疑いがある場合の調査・保護体制について、現在の運用状況と課題を明らかにされたい。 四 ソーシャルメディアを通じた虐待問題の提起への対応 当該動画のように、YouTubeやソーシャルメディアを通じて児童虐待や親権問題が広く公に訴えられるケースが増加しているが、こうしたケースに対する政府の対応方針を示されたい。また、こうした情報発信が児童のプライバシーや安全に与える影響について、どのように評価しているか示されたい。 五 国民の信頼回復に向けた対応 当該動画を契機に、司法や行政に対する国民の不信が高まる懸念がある。児童保護に関する透明性や信頼性を確保するため、政府としてどのような追加的措置を検討しているか示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |