第217回国会(常会)
質問第一四四号 候補者による選挙前の書籍出版の公職選挙法上の適法性に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年六月四日 浜田 聡
参議院議長 関口 昌一 殿 候補者による選挙前の書籍出版の公職選挙法上の適法性に関する質問主意書 近年、選挙に立候補する者が選挙前に自身の政治的ビジョンや政策をまとめた書籍を著者として出版し、選挙戦での知名度向上や政策訴求に活用する事例が見られる。これらの行為は、選挙運動や事前運動に該当する可能性があり、公職選挙法(第百四十六条(文書図画の頒布制限)、第百二十九条(事前運動の禁止)等)との関係で議論を呼んでいる。特に、選挙運動期間中や選挙直前の書籍出版が選挙運動を目的とした文書頒布とみなされる場合、違法性が問われる可能性があると認識している。選挙に対する国民の信頼を確保し、公平な選挙環境を維持するため、政府の法解釈と運用方針を明確にする必要がある。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 選挙前の書籍出版の適法性について 選挙に立候補予定の者が選挙の公示日又は告示日前に自身の政治的ビジョンや政策をまとめた書籍を出版することは、公職選挙法第百二十九条(事前運動の禁止)又は同法第百四十六条(文書図画の頒布制限)に抵触するか示されたい。抵触する場合、どのような条件(例:出版のタイミング、内容、販売方法)で違法と判断されるか、政府の具体的な基準を示されたい。 二 選挙運動期間中の書籍販売について 選挙運動期間中に、候補者を著者とする書籍(特に選挙公約や出馬意図を含む内容)が有料で販売された場合、公職選挙法第百四十六条(文書図画の頒布制限)に抵触するか示されたい。また、電子書籍の発売やオンラインでの宣伝も含め、どのような行為が違法とみなされるか、政府の見解を示されたい。 三 過去の事例と運用実態について 過去に、選挙前に候補者が書籍を出版し、選挙運動や事前運動とみなされた事例があるか示されたい。みなされた事例がある場合、選挙管理委員会や捜査当局がどのような基準で違法性を判断したか、具体例を挙げて示されたい。また、違法と判断されなかった場合、その理由も併せて示されたい。 四 電子書籍の特例について 電子書籍が選挙運動期間中に発売された場合、紙媒体の書籍と比較して公職選挙法の適用に特例や異なる解釈があるか。特に、電子書籍の発売日設定やオンラインでの宣伝行為が選挙運動とみなされる基準について、政府の見解を示されたい。 五 選挙の公平性確保のための措置について 選挙前に候補者が書籍を出版する行為は選挙の公平性を損なう可能性があるとの指摘がある。政府として、こうした行為に対する規制強化やガイドラインの策定を検討しているか示されたい。また、選挙管理委員会が候補者や出版社に対して事前に注意喚起を行うなどの運用は行われているか、具体的な対応策を示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |