質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第一三二号

自らを利する政府委員の政策提言に基づき政府が利益誘導に関与した可能性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年五月二十八日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   自らを利する政府委員の政策提言に基づき政府が利益誘導に関与した可能性に関する質問主意書

 認定NPO法人フローレンス創業者の駒崎弘樹氏は、第五十回内閣府子ども・子育て本部子ども・子育て会議(以下「子ども・子育て会議」という。)(令和元年十二月十日)に政府委員として出席し、自らがほぼ独占している障害児向けの居宅訪問型保育事業が赤字で運営されているという収支調査結果を提出し、公費(公定価格)の見直しを要求した。議事録によると、当該調査結果の有効回答数は、一事業所(フローレンス)のみであり、客観性に乏しいため公表対象ではなかった資料を、駒崎氏が内閣府参事官に要求し、提出させたものである。

 さらに、駒崎氏は第五十三回子ども・子育て会議(令和二年十月五日)において、当該調査結果を「令和元年十二月十日 第五十回子ども・子育て会議配付資料」とし、委員提出資料として配付した。客観性に乏しく不適切とされた調査結果を、自ら政府に要求して提出させたにもかかわらず、後の会議で「第五十回子ども・子育て会議配付資料」として、あたかも公的な調査結果のように提出し、改めて政府に公費の増額を要求した。

 また、第五十三回子ども・子育て会議に提出された運営スタッフ人件費の内訳には、看護スーパーバイザー(二名)や事務スタッフ(六名)といった、保育に直接従事する職員以外の人件費が多く含まれていた。「収益・費用には、調査対象事業以外の事業(中略)も含まれ得る」との注釈もあった。さらに、フローレンスが運営する障害児訪問保育を利用する場合、フローレンスが運営する訪問看護ステーションとの契約を必須としているが、訪問看護の公費が収益に計上されておらず、訪問看護師の人件費が費用に計上されている。収益としては国が定める保育給付費だけが計上されており、東京都内の認可保育事業者に交付される保育士等キャリアアップ助成金などの補助金は一切計上されていない。なお、保育給付費とは、「内閣総理大臣が定める基準により算定した保育の費用の額」を指し、「公定価格」とも言われる。保育事業に対して国庫から直接支給される公費だが、その中には利用者が応益負担した保育料が一部含まれており、すべてが公費ではない。保育事業者は、国から支給される公定価格と自治体から支給される補助金で運営されており、自治体からの補助金がないことはあり得ない。東京都は、特に補助金の種類と額が多く、その中でも保育士の人件費に直接充てることとされている保育士等キャリアアップ補助金の額が最も多い。

 フローレンスは、障害児向けの居宅訪問型保育事業をほぼ独占しており最大の受益事業者である。その代表理事(当時)が、客観性を欠く不適切な会計資料を二回も提出し、当該事業について公費の増額を要求することは、利益相反に当たるものと思料する。また、駒崎氏はNPO法人全国小規模保育協議会理事として会議に出席しており、居宅訪問型保育事業の有識者として出席はしていない。居宅訪問型保育事業については、その制度設計から研修制度に至るまで、公益社団法人全国保育サービス協会が政府に提言し、同協会の理事長は保育事業を営んでいない。小規模保育事業の有識者として会議に参加していた駒崎氏が、自らが独占的に実施する居宅訪問型保育事業に係る政策提言を行ったことについては、不穏当との指摘がある。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 子ども・子育て会議等の政府の会議の委員に任命された者が、政府に政策提言を行うことで直接の受益事業者となることは、利益相反行為に当たるか、政府の見解を示されたい。

二 政府委員の再任に当たり、過去に政策提言をした際の提出資料等の内容や、有識者として適切な提言内容であったかについて検証しているか示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。