第217回国会(常会)
質問第一三一号 高年齢者雇用安定法Q&Aの改訂に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年五月二十八日 福島 みずほ
参議院議長 関口 昌一 殿 高年齢者雇用安定法Q&Aの改訂に関する質問主意書 「高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者雇用確保措置関係)」(以下「Q&A」という。)が二〇二五年三月三十一日に改訂され、同年四月一日に適用された。本改訂において、改訂前のQ&Aの一―五及び一―六が削除された。削除に至る経緯は次のとおりである。 1 厚生労働省(以下「厚労省」という。)は改訂前のQ&Aの一―五及び一―六を削除するまで、全国コミュニティユニオン連合会(以下「全国ユニオン」という。)との交渉において、次のとおり回答した。 (1) 二〇二四年三月二十八日、厚労省高齢者雇用対策課担当者は、「労働条件の引き下げについて、Q&A上、引き下げていいということは一切言ってませんので、ここにこういうふうに書いてあるから、引き下げていいんだと会社が言っているとしたら、それは明らかに間違った解釈になります。」、「一―五については、労働条件をどれぐらい下げていいかとか、一方的に下げていいというのは全く言及しておりませんし、そう取られるような文言は書いていないと我々は考えています。なので、仮にそう解釈したら、酷い誤読ということになります。」と回答した。 (2) 二〇二五年三月十三日、厚労省高齢者雇用対策課担当者は「いろいろ批判をいただいた一―五と一―六について、削除案を労使団体に示し、概ねまとまる方向でやっている。三月末に見直すことを考えて、厚労省のホームページに公表し周知を図っていきたい。」、「今後の流れについては、実際の周知を図るのは各都道府県の労働局やハローワークになるので、そちらに対してはQ&Aの見直しということで、手続き的には通知を発出して周知を図るようにといった流れになる。」と回答した。 2 超党派の国会議員で結成され活動を続けている「非正規雇用労働者の待遇改善と希望の持てる生活を考える議員連盟」(略称「非正規雇用議連」)の総会(二〇二四年五月二十四日開催)の場で、全国ユニオン傘下の労働組合である千葉県のなのはなユニオンから、非正規雇用労働者の現状、特に、高齢者の非正規化及び労働条件についてヒアリングを行った。総会では、出席した厚労省担当者との間で、Q&Aの一―五についての問題点などが議論された。総会後、厚労省は同議連事務局長である石橋通宏参議院議員に対し、Q&Aの一―五は問題があるのでしかるべき時期に廃止する予定であると回答した。 以上の経過と厚労省の発言を踏まえて、以下質問する。 一 継続雇用制度を設ける場合に、六十歳以上の定年を定め、定年後に継続雇用するという通常想定されるケースとは異なり、改訂前のQ&Aの一―五及び一―六に例示されていたような、定年よりも前の時期に(一度退職させるなどして)労働条件を変更しなければ六十五歳までの雇用を認めないという再雇用制度を設けている企業数を示されたい。 二 二〇二五年四月一日から適用されたQ&Aには、改訂前の一―五及び一―六を削除した理由が明記されていない。削除した理由は、高年齢者雇用安定法の主旨に鑑み、労働条件を引き下げてよいと誤った解釈をされる可能性があるためであるとの理解でよいか、削除した理由を具体的に明示されたい。 三 厚労省担当者はQ&Aの改訂について、「手続き的には通知を発出して周知を図る」と回答したが、通知は発出したのか示されたい。発出した場合、発出日、通知内容及び発出先を明示されたい。発出していない場合、発出予定日を示されたい。発出の予定がない場合、発出しない理由を明示されたい。 四 改訂前のQ&Aの一―五及び一―六を利用して、高年齢者雇用安定法の主旨とは異なる誤った解釈で再雇用制度を設けている企業は実存する。これらの企業に対して、改訂前のQ&Aの一―五及び一―六を削除した理由をどのように説明し、高年齢者雇用の現場においてどのように改善を促す指導をしているのか、あるいは指導していく予定なのか具体的に示されたい。また、説明・指導を行う主体は、地域の労働局などであるのか示されたい。さらに、改訂前のQ&Aの一―五及び一―六を削除した理由をどのような手段で周知をしているのか、あるいは周知をしていく予定なのか説明されたい。 右質問する。 |