質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第一三○号

CFD取引に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年五月二十三日

川田 龍平


       参議院議長 関口 昌一 殿



   CFD取引に関する質問主意書

 新NISAが開始されるなど個人投資家の資産形成を促進する施策が進められる中、近年は金融商品取引に関する被害相談が増加している。その被害の多くは、リスクの開示が不十分であることだけではなく、法の不備にも原因があると思われる。これに関連し、以下質問する。

一 様々な金融商品がある中、最近若者から人気のあるCFD取引は相対取引であり、顧客の損失が業者の利益であることから、利益相反行為による弊害が危惧される。金融庁は、CFD取引について、利益相反行為の弊害を防止するための規制を設けているか示されたい。

二 金融商品取引法第二十九条の四第一項第一号ホでは、金融商品取引業の登録申請者が「その他金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者として内閣府令で定める基準に該当する者」に該当するときは、登録を拒否しなければならないと定めている。登録免許を受けた金融商品取引業者がコンプライアンス体制を整備せず、また、自社内での取締役会を開催せずに海外の親会社からの指示に基づき会社の取引に関する重要な決定をするなど、金融商品取引業を適確に遂行する組織形態が存在しないと判明した場合、金融庁は金融商品取引業の登録を取り消すのか示されたい。また、これまでに登録を取り消した事例はあるか。ある場合、その時期と具体的事例をそれぞれ示されたい。

三 金融商品取引業者が顧客に開示する約款及び重要事項説明書について、金融庁は内容を確知しているか示されたい。

四 前記三の約款及び重要事項説明書が通常人のレベルから見て理解できないような記載である旨指摘された場合、金融庁は当該金融商品取引業者に注意勧告を行うのか示されたい。

五 CFD取引において、監督官庁が顧客又は関係者から金融商品取引業者と顧客との間の取引が無断売買に該当するとの通報又は告知を受けた場合、監督官庁は調査を行っているか示されたい。また、調査により無断売買を行ったことが判明した場合、どのような行政処分を行っているか示されたい。

 さらに、農林水産省及び経済産業省が、過去五年間に行った無断売買等に係る行政処分の件数及び具体的事例について、年度ごとに示されたい。

六 農林水産省及び経済産業省が、過去五年間にCFD取引について顧客又は関係者から無断売買に該当するとの通報又は告知を受けた件数と当該事案を調査した件数について、年度ごとに示されたい。

七 CFD取引と同様に、登録を受けた一部の金融商品取引業者が提供するバイナリーオプション取引については、業者の収益源が顧客の支払金額と受取金額の差額であることから、業者の利益と顧客の損失が相反する構造にあり、利益相反取引であるといえる。また、同取引はリスクの高い金融商品であり、欧州証券市場監督局(ESMA)は個人投資家向けを禁止し、米国でも限られた取引所でのみ許可されていると聞く。こうした国際的な規制状況を踏まえ、日本においてもバイナリーオプション取引を規制することを検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

八 金融商品取引業者が提供するCFD取引に関し、当該業者が提供する全てのCFD銘柄について、当該業者が原市場において実際にポジションを保有しているか又は原市場との間で適切な契約関係を有しているか、金融庁は調査を行ったことがあるか示されたい。また、原市場の銘柄と類似した名称のCFD銘柄について、投資家保護の観点から問題がないと考えているか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。