第217回国会(常会)
質問第一二七号 赤い羽根共同募金の強制徴収が不当寄附勧誘防止法違反となる可能性に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年五月二十三日 浜田 聡
参議院議長 関口 昌一 殿 赤い羽根共同募金の強制徴収が不当寄附勧誘防止法違反となる可能性に関する質問主意書 赤い羽根共同募金は、一九四七年に「国民たすけあい運動」として始まり、戦後の民間社会福祉施設の財政支援を目的としたもので、一九五一年の社会福祉事業法(現在の社会福祉法)の制定により、法的な枠組みが整備された。かつては戦後間もない時期であること等の時代背景もあり全員参加が原則であったが、現在は社会福祉法第百十六条に基づき寄附者の自発的な協力が原則とされ、各都道府県の共同募金会や中央共同募金会が担い、寄附金の使途は地域福祉の推進(高齢者・障害者支援、子ども支援、災害支援など)に限定され、運用されている。他方、赤い羽根共同募金には、主に後記のような強制徴収の実態があるという相談が私の事務所に複数寄せられ、インターネット上でも強制徴収に対する批判的な声が従前から様々にあることが分かる。 ○強制徴収の例 ・職場で強制的に集金があり、断ることができない。 ・自治会や町内会等の地域の任意団体が訪問による赤い羽根共同募金の集金を行っており、断れない。または、断ると地域で孤立する等の不利益が生じるため、支払わざるを得ない。金額も予め決められている。 ・住民の同意を得ることなく、自治会費から一定額が勝手に社会福祉協議会へ赤い羽根共同募金として支出されている。住民の中には、赤い羽根共同募金として支払われている事実を知らない者もいる。 ・学校で子どもたちに赤い羽根共同募金をするよう呼びかけ、断ると学校で子供が孤立したり、批判されたりする。赤い羽根共同募金として集められるお金が何に使われるのか、集金時に十分な説明がない。 これらの実態は、赤い羽根共同募金設立当初のたすけあいの精神や当時の募金方法がいまだ残存している可能性を示唆するが、事実であれば、社会福祉法第百十六条「共同募金は、寄附者の自発的な協力を基礎とするものでなければならない。」に抵触する可能性がある上、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律(以下「不当寄附勧誘防止法」という。)違反にも当たるのではないかと思料する。また、私の事務所には「本来、共同募金は共助の観点で希望する者だけから徴収されるべきもので、強制徴収により社会福祉そのものに批判が集中するような事態はあってはならない」等の意見も寄せられている。 以上を踏まえて、赤い羽根共同募金の在り方、不当寄附勧誘防止法との関係及び政府の見解を明らかにすべく、以下質問する。 一 社会福祉法に定められる赤い羽根共同募金は、寄附者の自発的な協力ではなく、強制徴収が容認されるか、政府の見解を示されたい。 二 不当寄附勧誘防止法は、共同募金事業を行う共同募金会(社会福祉法人)及び社会福祉協議会等の赤い羽根共同募金を集金している団体にも適用されるか示されたい。 三 前記二について、適用される場合、以下質問する。 1 不当寄附勧誘防止法では六つの不当な寄附勧誘行為の禁止が規定されているが、これらの行為は赤い羽根共同募金においても同様に禁止行為に該当するか。また、禁止行為を行った際、寄附の意思表示の取消しはできるか、政府の見解を示されたい。 2 赤い羽根共同募金の募集時には、不当寄附勧誘防止法上の不当な寄附が行われることを防ぐため、不当寄附勧誘防止法のチラシやパンフレットも併せて配付すべきと思料するが、政府の見解を示されたい。 3 不当寄附勧誘防止法上の不当な寄附により、赤い羽根共同募金の強制徴収を受けて困っている国民の相談又は通報窓口は、消費者庁の消費者ホットラインか。政府の相談窓口又は通報窓口を示されたい。 4 前記3について、政府が赤い羽根共同募金の不当な徴収で困っている国民から相談又は通報を受け、その事実が不当寄附勧誘防止法に抵触すると確認できた場合、国又は内閣総理大臣は、不当寄附勧誘防止法第七条又は第十一条に基づく措置を採るのか。理由と併せて示されたい。 四 赤い羽根共同募金が不当寄附勧誘防止法の不当な寄附に当たらないようにするための取組を共同募金会がしているかどうか政府は把握しているか。把握していればその内容を全て示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |