質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第一二三号

能登半島地震時における孤立集落へのドローン配送の事実関係に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年五月十九日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   能登半島地震時における孤立集落へのドローン配送の事実関係に関する質問主意書

 複数のドローン事業者が加盟する「一般社団法人日本UAS産業振興協議会」(以下「JUIDA」という。)は、能登半島地震に際し、自治体からの要請でドローン支援を担ったとされる。JUIDAウェブサイトの記事「憧れのドローンパイロット」(令和六年七月二十六日掲載)によると、自衛隊が特定事業者に対し利益供与をした疑いがある。同記事には、以下の記載がある(以下「同記事の記載内容」という。)。

 「ドローンを飛ばせる場所かどうかを、上空から確認したい。自衛隊の所に行って、ヘリコプターに乗っていって現地の状況を調べることをしたのですが、これも嶋本さん(注:嶋本学JUIDA参与、元陸将補)経由でオファーをしました。」

 「西保コミュニティーセンターにヘリコプターで情報収集にいったときのことです。途中、崩れているところがあるので、まちの中心部からいくには、自衛隊の方でも歩いて片道で二~三時間くらいかかるんです。ヘリコプターで情報収集に行った時にお薬が届けられているかたずねたら、お薬担当の方から震災発生直後から届いてないと教えられました。薬もなくなってきている人がいて、もう死ぬ。本当にどうにかしてくれ、誰も持ってきてくれない。そう言われました。衝撃でした。その時に「明日届けます!戻ったらすぐに届けます!」って誓いました。次の日、ドローンで届けました。現地では半信半疑だったと思います。届けて感謝頂いたときには、届けてよかったと実感しました。」

 つまり、同記事は、JUIDA参与かつ元陸将補である嶋本学氏が、JUIDAの会員企業である特定事業者のために自衛隊に働きかけ、①ドローンを飛ばせる場所かどうか知りたい事業者を自衛隊のヘリコプターに乗せて上空から確認させ、②ヘリコプターや徒歩で運搬するのではなく、わざわざ特定事業者のドローンを飛ばせた可能性があることを示唆している。

 以上を踏まえ、以下質問する。

一 JUIDAの能登半島における活動は、自治体若しくは自衛隊などから何らかの要請があって行われたものか示されたい。要請があった場合、要請をした公的機関、要請日及び具体的な要請内容を示されたい。

二 JUIDA傘下の事業者と自衛隊の協力は、利益供与に該当しないのか、政府の見解を示されたい。

三 同記事の記載内容について

 1 同記事には、嶋本学元陸将補が自衛隊に対し、ドローンが飛行可能か調べるためにヘリコプターの出動を要請した旨の記述があるが、これは事実か示されたい。事実の場合、自衛隊OBによる自衛隊装備の私的利用若しくは利益供与のあっせんには該当しないのか、政府の見解を示されたい。

 2 同記事の記載内容について、関係省庁及び政府は承知しているか。承知していない場合、関係省庁及び政府の見解を示されたい。

四 同記事の記載内容から拝察するに、同記事の事例では、現地と連絡が取れているため、ドローンを使用しなくても医薬品をヘリコプターで運ぶことで足りたと思われる。しかし、自衛隊のヘリコプターで情報収集した上で人員を現地へ派遣し、ドローンを使用することは極めて非効率であると思料する。災害派遣の三要件の一つである「非代替性」を満たしていないと考えるが、政府の見解を示されたい。

五 西保コミュニティーセンター等の災害時の避難所や支援物資拠点にドローンで物資を届ける際、物資を届けるドローンの着陸場所の安全確保のためにあらかじめ誘導員が派遣されていることについて

 1 前記実態について、政府が把握している内容を示されたい。

 2 災害時にドローンで物資を届ける際、ドローンの着陸場所に誘導員を派遣する等の安全確保の必要性について、法的根拠は存在するか示されたい。

 3 前記五の2について、ドローンの着陸場所に誘導員を派遣できるのであれば、当該誘導員の派遣方法で物資を届ければ済むと考えるが、政府の見解を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。